勉強とは自己投資!目的は将来の自己成長、マネジメント視点から捉え直す|勉強法・教育法㉒

勉強は自己投資、自分をマネジメントする効率的な勉強法のコツ

 

「勉強する目的とは何ですか?」

 

そのように問われたら、私はこのように答えます。

勉強とは自己投資であり、自分自身を成長させるためにある」。

 

このような考え方は、勉強の目的と手段について合理的に考える際には非常に有用です。

とは言え、「投資」というのは経営・ビジネス的な用語ですので、特に社会人経験の無い方には実感としてあまりピンと来ないかも知れません。

 

そこで、経営目線からカンタンに噛み砕いて説明していきたいと思います。

 

自分自身をマネジメント」するようなイメージです。

 

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ヒト・モノ・カネ・情報という経営資源の意味、例え話

 

まずは、ビジネス経験の無い方のために、経営資源の基本的な考え方についてカンタンに解説します。

 

経営資源というのは、ザックリと言えば「プラスを生み出す要素」ということです。

ビジネスで言えば、収益を成長させる為の手段とも言えます。

 

現代日本において経営資源と呼ばれる主な要素は、以下の4点にだいたい集約されます。

①ヒト ②モノ ③カネ ④情報

ここでは会計学的な知識が無くても分かるように、カンタンな具体例から入っていきましょう。

 

経営資源について具体例でカンタンに解説

 

例えば、パン屋の経営についてシミュレーションしてみましょう。

※以下の説明はアバウトな一般論です。実際は経営戦略や周辺環境などに大きく左右されます。

 

①ヒト:単純な労力、そして特別なノウハウを持ったプロフェッショナル

 

パン屋を経営するためには、ヒトが必ず必要になります。

 

一定以上の経営規模であれば、売り子やレジ打ちといった人員が必要です。

求められるハードルの高くない仕事であれば、大抵は時給制のアルバイトを雇うことが多いでしょう。

 

そして何よりも大切な人員は、パン職人です。

本格的なパン屋であれば、パン職人個人の技術力やノウハウがパンの商品価値を決めると言っても過言ではありません。

 

つまり、「人数×時間」で表せるような単純な労力と、特別なスキルが求められるプロフェッショナルとではまた話が違ってくるということです。

これはまた、人的資源にも質と量が関係してくるということの表れとも言えます。

 

想像がつきにくければ、逆に『もし学生バイトにパンを焼かせてパン職人に雑用をやらせたら……?』と考えてみてください。雑用はいくらでも代わりが務まりますが、パンを高いクオリティで作る為には元の職人と同等以上の技術がないと務まりません。
だからこそ、パン職人にはなるべく職人にしか出来ない業務だけを任せ、それ以外の雑用はバイトに負担してもらった方が効率的です。

 

②モノ:調理器具などの物から店舗用の不動産まで

 

モノというのは、そのまま物理的なモノのことを指します。

 

パン屋であれば、オーブンなどの調理機械は当然必要です。そして、陳列棚やレジ、更には裏でデータ管理するためのPCに至るまで、必要なモノは実に多岐にわたります。

あるいは、店舗を開業するためには、土地・建物も必要になってきます。商業施設の一区画を借りる場合でも同じです。

 

こうしたモノも、商品のクオリティや売上に直結する重要な要素です。

 

調理機械であれば、一般家庭向けの家電製品と業務用の機器とではスペックの差も大きく違ってきますし、同じ業務用でもグレードによって出来具合が変わることでしょう。

店舗であれば、立地条件や外観の違いでも集客力は全く変わってきます。

 

③カネ:何をするにもお金が掛かる

 

カネというのは、そのままお金のことです。

 

お金が無ければ人も雇えませんし、モノも買えません。そもそもパンに使う原料すら買えません。

新商品の開発にもお金が掛かりますし、新店舗を開店して事業拡大するためにもお金が必要です。

 

④情報:IT技術の発達で利用価値は増大の一途

 

そして、近年になって重要性を増しているのが情報です。

 

一般客からすると、パン屋を探す際にはネット検索を使ってホームページや口コミサイトなどを調べることが出来ます。

あるいは、パン専門サイトなどでは、最近流行っているパンの情報などもまとめられていたりします。

 

これらを逆にパン屋の経営サイドから見ると、売れ筋の商品や近隣のライバル店などの情報をリサーチして経営戦略に活かすこともできます。

あるいは、ネット上でライバル店よりも上位にヒットさせることが出来れば、それだけで競争に有利となります。(一般客からすると、『ググれば先にヒットするパン屋』になるということです。)

 

情報を制する者は戦いを制す」ということです。

 

ちなみに「ビッグデータをビジネスに活用する」という話は、カンタンに言えば情報をもっと大きなスケールで統計的に分析して経営に活かすことです。

 

経営は成果を上げるためにある、経営資源はそのための手段

 

経営において何よりも大切なのが「成果を上げること」です。

 

ここでいう成果というのは、経営者の考え方によって様々です。

例えば爆発的に収益力を伸ばして全国展開を目指す野心家も居れば、小規模でも地域密着型で安定性を目指す「町のパン屋さん」も居ます。

 

いずれにしましても、何かしらの成長や発展、地域貢献といったような結果を求めるという点は共通しています。(逆にどれだけ努力したところで破綻しては意味がありません。

そして、そうしたより良い結果を得るためには、先ほど挙げたような経営資源をいかに効果的に活用できるかがカギとなってきます。

 

新しい支店を次々とオープンさせる為には、既存の店舗で収益力やブランド価値などを成長させた上で、さらなる投資=経営資源の投入が求められます。

一方、1店舗でマイペースに営業する場合でも、限られた経営資源を上手く活用して企業努力をしなければ赤字続きで閉店せざるを得なくなります。

 

『費用』『出費』と聞くとマイナスのイメージが持たれがちかも知れませんが、むしろ必要な部分には惜しみなく経営資源をフル活用することが求められます

 

例えば最先端の企業が「ITソリューションによる業務の合理化」などに多額の費用と労力を掛けるのも、それ以上の利益を長期的に生み出すための出費です。

その年の決算だけを短絡的に考えるのであれば、目先の費用を削った方が利益は上がります。

しかし長期的な業績で考えるならば、効果的な投資というのは年数を重ねるに連れて成長力に大きな差を生み出すことになります。

 

近年では、企業にもCSRなどをはじめとした社会貢献が重要視されつつありますが、それはあくまでも収益を上げてビジネスとして成立させてこその話です。
つまり、自社社員を養った上で社会貢献もするということです。

 

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勉強は自分への自己投資、成長して将来の可能性を広げる

 

以上のようなビジネス的な視点は、受験勉強や資格取得にも通じます。

 

勉強における経営資源とは

 

それでは、前半部で説明した経営資源の考え方を勉強に当てはめてみましょう

 

ヒト:自分自身の努力、そして先生の質

 

勉強で言うヒト=労力というのは、まず第一に自分自身がどれだけ努力するかということです。

 

自分で努力することが「人的資源」と問われてもしっくりこないかも知れません。

ですが、1日あたりの勉強時間も体力や集中力も限られている以上は、勉強に当てる労力も有限な資源です。(労働時間と同じ話。)加えて、その有限な労力は遊びにも割かれていくことになります。

なお、「限られた労力を何にどれだけ割くか」という点こそが学習スケジュールの意義です。

 

そして、人的資源の質的な部分を担うのは、先生の質です。

現実問題として、教える側にもノウハウの蓄積や説明の上手さには個人差がありますし、人間である以上は相性問題もあります。

 

逆に言えば、良き先生は貴重な財産ということです。

是非とも成長の糧として上手く使いましょう。

 

モノ:学習教材だけでなく学習環境も

 

勉強で利用するモノと言えば、学習教材や勉強道具が思い浮かぶことと思います。

 

同じ労力でも、自分にとって分かりやすく相性の良い教材を使う方が学習効果は上がりますし、快適性の高い筆記用具やアイテムを使えばシンプルに作業効率が上がります。

逆に、買うだけ買ってタンスの肥やしになってしまっては何の効果も生み出しません。

 

※なお、問題集の選び方については過去記事で特集しています。
問題集の選び方のポイントは解説と難易度!現物を見て判断するコツ|勉強法・教育法⑮

 

それに加えて、学習環境も勉強に大いに影響を与えます。

特に、集中力やモチベーションが変われば、同じ勉強量でも学習効果は変わってきます

※過去記事では、自習室にあえて懐疑的な立場から学習環境を考察しています。
自習室・図書館での勉強は本当に効率的?デメリットから学習環境を検討する|勉強法・教育法⑱

 

カネ:学費・教育費、もっとも格差の出る資源

 

勉強におけるカネといえば、学費や教育費です。

基本的に、ほぼ全ての要素に関わってくると言っても過言ではありません。

 

それにもかかわらず、各家庭の経済状態によって大きな格差の表れる資源です。

 

受験勉強で例えると、富裕層は「予備校のフルコース&一流の家庭教師&個室の勉強部屋&私立併願」といったことが難なく可能ですし、実際に居ます

一方、日常的な家計も苦しい家庭であれば、週1回の塾通いでも厳しいことでしょう。

 

自分自身で生計を立てている社会人の場合でも、家計をやりくりしつつ学費を捻出していく必要があります。

 

教育費は「決められた予算の中で最大限の効果を出す」という、まさにビジネスそのものが求められます。

 

情報:本質的な学習内容、各試験に特化した情報戦

 

最後に、情報です。

 

まず、試験であれば各種試験の出題傾向などの分析データがあります。

試験によっては、その年の問題作成者の分析まで行なわれることすらあります。

こうした情報格差があれば、必然的に結果にも影響します。(例年通りの出題であれば特に)

 

加えて、勉強内容では本質的な理解の部分にも情報の差が影響します。

例えば、国語であれば、論理的思考力について本質から深く理解できているか否かで得点力もその後の社会人生活も全く違ってきます。

当サイトの完結シリーズ「論理的思考のコツ・本質講義」でも、そうした観点から踏み込んだ解説をしています。

 

情報については後でまた取り上げます。

 

勉強は自己投資そのもの、単純に生涯年収でも差が出る

 

勉強の場合は、集団単位のビジネス活動とは違って自分個人が投資対象となります。

そして、それこそが「自己投資」という言葉の意味するところです。

(未成年の場合、金銭面は保護者次第になりますが)

 

そうした自己投資の成果がもっとも単純に表れる形として、生涯年収があります。

厚労省の公表している統計データ上でも、『高卒より大卒』、『中小企業より大企業』の方が平均年収が高いという傾向が示されています。

更に言えば、民間の統計でも『出身大学別で平均年収が大きく変わる』といった結果を見たことがあるかと思われます。

 

これらが意味するのは、効果的な自己投資をすればするほど収入が増えるという傾向です。

これはまさに、前半で解説したビジネスと同じ構図です。

※あくまでも平均値に過ぎませんが、『実際に統計データ上の差が顕著に出ている』という事実は見過ごせません。

 

自己実現のための自己投資、成長のための勉強

 

学歴と平均年収の話は、あくまでも分かりやすい単純な例として挙げたまでです。

実際は、「自己実現」の側面こそが根本にあります。

 

勉強というのは、本来は学校で勉強する学科に限ったものではありません。

幅広いスキルの習得や見識を広げるための社会勉強、さらに広く捉えれば人生勉強とも結びついていきます。

 

そうした中で、人生全体を通して取り組みたいことが見つかれば、それは何物にも代えがたいものです。

いわゆる「やりがい」というのもその一つですし、高収入を得ることもまた一つです。

 

そうした自分のやりたいことを実現するためには、自分自身を成長させることが不可欠です

そして、将来の可能性を拡げるための自己投資こそが勉強です。

 

自己投資の大切さは、『純粋に奉仕活動をしたい、儲け話などもってのほか』というような人にとっても同じ話です。

 

医者として人々を救いたいと思ったところで、必要な資格を取得した上でスキルも磨かないとただのヤブ医者です。

貧困国で支援活動をしたいと思ったところで、何のスキルも生活力も無いのに現地入りしたところでただの足手まといです。

 

かといって、前述の通り勉強に費やせる資源は有限なわけですから、限られた経営資源を上手く活用して必要な水準まで成長していくことが求められます。(そもそも途上国支援にはマネジメントの視点も不可欠です)

 

兎にも角にも、まずは自分自身を成長させるための自己投資が先決です。

 

試験の点数アップはビジネスでいう成果と同じ、学習効果の効率性

 

中高・大学受験や資格試験を目指して勉強している人にとっては、目下の目標は「試験に合格すること」になるかと思われます。(あくまでも目下の話です)

 

ここで「試験でより良い成績をあげる」ということは、ビジネスでいう成果と同じようなものです。

 

ビジネスにおいては、ヒト・モノ・カネ・情報を中心に限られた経営資源を有効活用することによって、より多くの成果を生み出すことが問われます。

試験勉強の場合は、限られた資源を使って1点でも多く点数を上げることが求められます。

 

効率性というのは商売だけでなく、様々な活動においても役立ちます。

勉強であれば、「同じ努力量でより高い学習効果を得る」という観点です。

 

進学塾・予備校などの学費も自己投資の一環

 

自分自身をマネジメントするという点で言うと、進学塾や予備校に払う多額の学費もまた自己投資の一環です。(私立校への併願も含む)

 

経営資源であるカネを消費することで、より優秀なヒト=先生から学び、モノ=教材や学習環境の提供を受け、情報=質の高いノウハウや試験対策情報を得ることが出来ます。

これにより、独学では余計に掛かる時間を短縮し、また時間当たりの学習効率も上がることになります。(本当に質の高い教育が提供されていれば)

 

だからこそ教育業界はビジネスとして末永く繁栄しているのです。

高い学費を払う側からすると、目先の出費以上の「未来の成長」を買っているということです。

 

情報力で教育格差を覆す、合理的な学習メソッド

 

確かに経営資源には限界がありますし、特にカネの部分は各家庭によって如何ともし難い要素です。

そして、まさにその経済格差こそが教育格差を広げる最も大きな要因です。

 

一方、ITの発達した現代ではいわゆる情報力で格差を埋めることも可能です。

 

例えば合理的な学習メソッドであれば、当サイトでも連載シリーズとして一般公開しています。

 

ビジネス的なメソッドもプログラミングも、ググれば解説ページが山ほどヒットします。

英語がある程度読めるのであれば、文字通り世界中の情報に触れることも可能です。

 

予備校の上位クラスで教えるようなノウハウも、同じような情報を別の誰かがネット上で説明しているかも知れません。(当サイトもその一つです。)

あとは、いかに良質な情報を取捨選択して見つけ出せるかという情報リテラシーを基にしていかに試行錯誤できるか次第です。

 

それによって、企業がビックデータを活用して成長力を伸ばすのと同じように、あるいはスポーツ選手が最先端のスポーツ科学の情報を使ってライバルと差をつけるように、勉強でも情報力が競争力の差を生み出します

 

ただし、あくまでも「自分の能力次第では差を埋められる」という話です。
例えば、同じ受験生が教育のプロをフル活用できるか全て独学に頼るかでは、依然として大きな格差があることは否定できません。だからこそ、情報もカネによって違いの出る資源であるということです。
ただ、ググってフリーで手に入る範囲だけでもネット上には莫大な情報があるという点は特筆すべき部分です。

 

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スティーブ・ジョブズが同じ服を着る理由こそ経済的

 

ところで、スティーブ・ジョブズ氏が服装を毎日同じ組み合わせにしていたという逸話を聞いたことがあるかも知れません。

 

この逸話は、当記事のような経営目線から考えると良く理解できるかも知れません。

一言で言ってしまえば、服選びにも時間と労力が掛かっているということです。

 

お店にはいろんなデザインの洋服があって、つい色々と迷っちゃいますね

それはそれでもちろん良いのですが、目的合理性を突き詰めるとその迷う手間すらコストカットの対象になるということです。

このような発想は、ライフハックの一種と言えます。

ライフハックとは、IT技術による効率化と同じような発想をライフスタイルにも取り入れるようなテクニックです。(最近ではもっと多義化していますが)

 

このような発想が理解できれば、学習面でも同じように効率化を目指せば良いということです。

それこそがまさしくマネジメントです。

 

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まとめ

 

勉強で大切なのは、「自分自身をマネジメントする」という意識です。

それはつまり、ヒト・モノ・カネ・情報という限られた資源をいかに有効活用して少しでも多く成長できるか、ということです。

 

ここでいう勉強というのは、学科試験に限った話ではありません。

スポーツでも仕事でも奉仕活動でも、成長してより良い成果を出すという点では同じです。

 

そこで自己投資という観点を取り入れると、自分自身の努力それ自体をより合理的に捉え直すことが出来ます。

自己投資というのはつまり、成長のために的確に資源を投入することで将来の可能性を広げる、ということです。

 

具体的には、より少ないコストで同じ学習効果を得る、あるいは自分が使える経営資源の範囲で最大限の学習効果を目指す、という経済性・効率性の視点です。

そうした分析を重ねて試行錯誤を繰り返していくうちに、より多くの実を結ぶことが出来るでしょう。

 

そうした現実的な積み重ねを経た上で、より良い成果を実現できれば幸いです

 

※「努力」について効率性から捉え直す

 

※連載シリーズ①「ロジック基本講義(国・英・長文読解)」→ 各話リスト

※連載シリーズ②「効率的な勉強法」→ 各話リスト

 

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