勉強したくないなら勉強しないでもいい?勉強する理由を逆説的に考え直す|勉強法・教育法㉓

勉強したくない、勉強しないでいい、勉強の理由 効率的な勉強法・教育法のオススメ、コツ

 

前回記事では、勉強は成長のための自己投資であると述べました。

 

それでも、その自己投資をするための理由それ自体が見つからない方も多いことでしょう。

特に、社会人経験の無い未成年の方に多いかと思われます。(社会人の場合は仕事上の必要性が先行しやすい)

そのような方は、勉強を迫られるたびに勉強したくない」という強い反感を抱くことが特に多いかも知れません。

 

そうした方に対しても、『当面の』モチベーションを上げるための手段が世間では色々と提唱されていることと思います。あるいは叱るという選択肢もあるかも知れません。

 

ですが、私の所感としては、勉強する理由をもっと根本から見つめ直すことが大切だと思います。

そうした観点を前提に、あえて逆の立場からこう主張したいと思います。

 

勉強したくなければ勉強しなければ良いのです。

 

勉強する理由・勉強しない理由を考え直す

 

モチベーション向上法の基本は「スイッチの切り替え」

 

まず、巷にはモチベーションアップのための手法が様々に提唱されていることと思います。

 

それらを分析すると、特別な何かをすることで意識のスイッチを切り替えるというのが大半を占めているように見受けられます。

  • 勉強するときだけ特別な学習スペースを利用する。
  • 勉強するときだけ特定の飲食をする。
  • 勉強するときだけ音楽を聞く。
  • 勉強するときだけ正確に時間を計測して記録する。

 

なお、これらについては「オンオフの切り替え」という視点から過去記事で特集しています。

 

すでに何かしらの目標が定まっている方にとっては、こうした手法が役に立つかと思われます。

 

オンオフの切り替えという点で言えば、「休むとき・息抜きするときには勉強しない」ということも大切です。ただし、別論点になりますので、興味のある方は上で挙げた過去記事の方を参照してください。

 

無理やり勉強をやらされている子どものモチベーションアップ?

 

以上のようなモチベーションの向上法は、「勉強の必要性は分かってはいるけど……」というベースがある人にとっては有意義です。

 

一方で、そもそも根本的に勉強する気のない人にこうした方法を持ち出すのは疑問です

特に未成年のお子さんの場合、親の意向で半強制的に勉強させられているというケースを山ほど見てきました。(塾講師としても知人としても)

 

その顕著な例として、知人のF君のケースを思い起こします。

 

F君は車が大好きで、「自動車整備士になりたい」という明確な夢がありました。

一方で、F君の母親は『高学歴・高偏差値・ホワイトカラーが全て』というような価値観で、F君の夢である『自動車整備士なんてもってのほか』というスタンスでした。

 

F君は塾に通わされていましたが、半強制的に塾通いさせられることを心底嫌がっていました。モチベーションは上がるどころか、むしろ嫌がりようが増す一方だったように見えました。

結果として、母親の望む進学校への受験は半ば必然的に失敗しました。

 

そんなF君や類似のケースを目の当たりにして、「果たして対処療法的なモチベーション向上法に意味があるのか」という疑問が常々ありました。

表面上のモチベーションよりももっと根本的に考えるべきことがあるのではないのか、ということです。

 

そうした疑問が当記事の発端となっています。

 

学校の勉強が全てではない、4年制大学への進学が全てではない

 

まず再認識すべきことは、4年制大学への進学コースが世界の全てではないという常識です。

 

例えば、文部科学省のデータによれば、平成30年(2019年)3月末現在での高卒者の就職率は98.1%にも及んでいます。(ちなみに毎月勤労統計の不正問題とは調査対象が違います

これが意味するのは、よほど特殊な事情が無ければ大学に行かなくとも就職できるということです。大卒者との違いは平均年収や選択肢の幅といった部分です。

 

更に言えば、学歴を問わない道というのもあります。例を一部挙げると、アスリート、職人、クリエイター、起業家などです。

これらに共通するのは、学力が高いからといってなれる職業ではないということです。

 

ただし違う形での勉強が生涯に渡り求められていく

 

ただし、上に挙げた例で「勉強しなくてもいい」と言う場合は、あくまでも『大学受験のための勉強は』必須ではないという意味です。

 

アスリートであれば、常人にはおよそたどり着けないレベルの努力か才能、あるいはその両方がないとプロにはなれません。

また、近年においてはスポーツ科学的な知見が急速に重要性を増していますので、学ぶべきことは山ほどあります。

 

職人やクリエイターであれば、学校の授業どころではなく一生涯スキルを磨き続けることになります。

特にこれからの令和時代以降であれば、そこそこの技術水準に甘んじていてはAIロボットに一斉駆逐される恐れがあります。

そこで「人間特有のクリエイティビティ」で勝負するためには、それこそ生半可の努力では厳しいことでしょう。

 

起業家であれば、市場分析・経営的な判断力・資金調達手段・法務・リーダーシップ・人脈といった素養が一通り求められることでしょう。

中にはカリスマ性や動物的な勘で成功を収める起業家も居るかも知れませんが、それは極めて特殊な素質です。

実際は、ブラック企業どころではなく奔走し続けることになるでしょう。(なお、起業家本人には労働基準法など全く関係ありません)

 

ここで言いたいのは『他の道の方が厳しいから勉強しなさい』ということではありません。むしろ「自分自身がその道を進みたければ進めば良い」ということです。

 

「何を目指すのか」を見出すこと、そこから何が必要か逆算して考える

 

ここで、冒頭の「勉強したくなければ勉強しなければ良い」という部分に戻りましょう。

これは、単に発破をかけるための言葉ではなく、文字通りの意味です。

法律上は誰も他人に勉強を強制することなど出来ません。実際問題、高校を中退し家出して独力で生きている人も居ます。

 

一方で考えるべきは、「では勉強をしないで何を目指すのか」という問いです。

 

Youtuberを目指すならば、何かしらのジャンルで大多数の配信者の中から頭一つ抜ける必要があります。

人気商売は一見すると楽そうに見えるかも知れませんが、実際はどれほど努力しても実らない人は実らないというシビアな現実があります。

デイトレーダーを目指すならば、常人離れしたメンタルコントロールと日々のリサーチを続ける必要があります。

絵を描く仕事を目指すならば、センスやオリジナリティだけでなく基礎的なデッサン力も磨く必要があります。

 

つまり、目指す方向性によって必要となる努力も違ってくるということです。

 

学校の勉強に関して言えば、一般教養や基礎学力として役に立つことはあっても、進む方向によっては必ずしも学力の優先順位が高いとは限らないということです。

ですので、他に優先順位の高いことがあるならば、学校の勉強を後回しにするのも合理的な選択の一つと言えます。

 

なお、進学を前提とした進路選択についてお悩みの方には、過去記事で様々なヒントをご紹介しています。

 

努力しないのもまた本人の自由

 

ここまで、「勉強とは別の形の努力」も踏まえて考えてきました。

 

一方で、本当に何の努力もしないで生きていくのもまた本人の自由です。

周囲に直接的な迷惑や危害さえ加えなければ、どう生きようと社会側は関知しません。

 

ただし、『本当にそのような生き方が出来るのか』という点についてはよくよく考えた方がよろしいかと思います。

 

仮に多額の遺産を受け継いでいたとしても、本人次第で財産を失うリスクは現実として有り得ます。なぜならば、財産のあるところには悪意のある人間も集まりやすいからです。

そのような人間にとって、知識も警戒心も無い資産家は絶好のカモに映ることでしょう。

 

親や先生の立場であれば本人の興味関心から視野を拡げることが大切

 

もしも当記事を読んでくださっているのが親や先生などの指導する側の方であれば、是非ともオススメしたいことがあります。

それは、「まずは本人の興味関心を第一に考えてコミュニケーションする」ということです。

 

例えば、前半でご紹介した自動車整備士を夢見るF君についてです。

 

F君の場合は、素人である私がザッと調べただけでもこれだけの方針が見えてきます。

  • 自動車から話を拡げて四年制大学の工学部を目指す。
  • 自動車の専門学科がある工業高校・高専を目指す。
  • 高校を卒業して専門学校に進む。
  • 高校卒業と同時にいきなり実務に入る。(茨の道)

 

あるいは、自動車を軸に興味を拡げていくことも出来ます。

自動車を取り巻くビジネスの方に興味が湧けば、経済・経営学部から自動車メーカーや隣接分野に進むという道もあります。

自動運転や電子回路の方に興味が湧けば、情報工学系の道もあります。

 

F君の場合は、このように見識を拡げていけば、「勉強した方が選択肢が増える」という理由から自ずと勉強に励んでいたかも知れません。少なくとも、あそこまで全面的に嫌がることはなかったはずです。

ですが、頭ごなしに否定してしまっては、本来あった可能性の芽すら潰してしまうことになるかも知れません。

 

将来の夢が皆無だった私からすると、夢という原動力を明確に持っているだけでも大きな強みだと思います。

 

まとめ

 

以上のように、まず何よりも大切なのは「何を目指して勉強するのか」という根本部分です。

 

そして、そのような目指すべき目標が定まることによって、逆算で目標に至るために必要な手段が浮かび上がってくるのが本来の順序であるはずです。

ここで言う目標というのは、明確な職業や学部でなくとも構いません。大切なのはどのような方向に進みたいのかという意志です。

 

学校の勉強、あるいは大学への進学というのも、無数にある手段の中の一つに過ぎません。

確かに一般教養や基礎学力は無いよりあるに越したことはありませんが、必ずしも進学コースが最善の手段とは限りません

 

まずは「なぜ勉強するのか、なぜ勉強しないのか」について根本的に見つめ直すことが第一ではないでしょうか。

 

その上で、よく考えた上で勉強以外の道を志すのであれば、それが本人の人生選択であると言えます。ただし、その前に様々な選択肢を知り視野を広げることが大切ではないでしょうか。

 

※進学予定の方へ向けた進路選択のヒントについてはコチラ↓

 

※完結シリーズ「論理的思考のコツ・本質講義」→ 各話リスト

※連載シリーズ「効率的な勉強法・教育法」→ 各話リスト

 

※私が見てきた限りでは、勉強したくない子どもを叱ったところで上手くいかないケースがほとんどのように思います。

 

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