
ああ、鉛筆書きだと消しゴムで消すのがめんどくさい。
消しカスもわずらわしい。

かと言ってボールペン書きだと修正だらけになるよね。

それならば、消えるボールペンがオススメですよ。
消えるボールペンことフリクションボールは、勉強でも仕事でも普段遣いには非常に便利です。
そこで、勉強における有効な使い方という観点からフリクションボールのメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

フリクションボールは間違いなく便利ではありますが、特殊な仕組みゆえに注意点もあります。
フリクションボールとは:メリットとデメリット
フリクションボールの仕組み:摩擦熱・温度変化でインクの色が消える
まず、フリクションボールを知らないという方は、こちらの22秒の公式動画を見ればその意味が分かります。

ん?ただペンの頭にある消しゴムで消してるだけ?

いいえ、頭にあるのは消しゴムではありません。
フリクションボールが消えているように見えるのは、摩擦熱によるインクの透明化です。
通常の消しゴムの場合は、紙に付着した黒鉛を物理的に取ることで字を消しています。消しカスが出るのも、吸着させた黒鉛を消しゴム本体から切り離すために必要です。
それに対してフリクションの場合は、温度が60度以上になることでインクが透明になるという仕組みです。(この仕様がメリットにもデメリットにもなります)
つまりインクそれ自体は残ったままで、ただ透明化しているだけということです。フリクションの頭についているラバーで擦るのは、摩擦熱でインクを60度以上にして透明化させるためです。
問題集でも教科書でも気軽に書き込み後で消せるというメリット
勉強においては、問題集や教科書への書き込みの際にこうしたフリクションの仕組みが最も活きます。
教科書や参考書の場合は、例えば考え方のコツの部分や補足説明を書き込みたい場面というのが大なり小なりあるはずです。(まとめノートに全て書くような学習スタイルでなければ)
あるいは問題集で演習する場合は、問題の情報整理や分析の為に是非とも書き込みまくるべきです。加えて、解答用紙がセットで付いているのならば、なるべくそれを使った方が合理的です。

そこで問題となるのは、どの筆記用具で書き込むかという点です。
ボールペンで直接書き込む場合は、何よりも消せないという部分が大きなデメリットとなります。修正テープで消すというのも白く上塗りしているに過ぎませんし、印字部分に字が被っていたら消すこと自体が困難です。
鉛筆書きの場合は、消すことは可能であるものの、消し跡が結構残ります。また、問題集の解き直しであれば、繰り返し消せば消すほど汚れるという課題もあります。
対して、フリクションボールであれば容易に消せるため、気軽に書き込みが出来ます。
こうして心理的に抵抗なく書き込みできるようになることで、学習効率も高まるという大きなメリットがあります。逆に言えば、書き込むべき部分で書き込みをためらうのは非効率的であるということです。

「本を汚したくないから書き込みたくない」ってのはあるあるですね。言われてみればそれって勉強の為にはならないかも。
なお、これらは仕事上の書類への書き込みにおいても言える部分です。
ドライヤーで消せば再利用も容易、面倒なコピーも不要
字の消しやすさが最もネックとなるのは、問題集を周回する時です。
当サイトでは、「解き直しこそが学習の基本である」と繰り返し述べてきましたが、解き直しをする為には前回の書き込みを消して1から解き直すことが求められます。
解き直しこそがコスパ最強の復習勉強!模試やテストに限らず問題演習から解き直す|勉強法・教育法②
前回の書き込みが残っていると、解き直しというよりも見直しになってしまい、アウトプット学習としての効果が薄れます。(※書き込みが間違っている場合は余計に混乱を招く)
かといって、問題集や解答用紙を全てコピーするのは費用的にも労力的にも負担となります。仮に1度はコピーするにしても、そのコピーを使い回せれば楽です。
そこで、ドライヤーで一括消去するテクニックをオススメします。

……ドライヤー?なんで?

あっ、そうか!フリクションは温度が60度以上にさえなれば消えるんだ!だから別に擦る必要もないんだ。
やり方としては、ただ単純にドライヤーで筆記部分を高温にするだけです。もちろんドライヤーに限らず、ヒーターでも高温の車内でも温度60度以上にさえ出来れば全て消えるということです。
こうした一括消去は、解き直しの効率性に絶大なプラスをもたらします。

じゃあアツアツのヤカンを乗せても消せるんだ。

……くれぐれも本を汚さないように注意してください。
フリクションボールの注意点・デメリット

筆記用具はもう全部フリクションボールで良いんじゃないかな。

いいえ、フリクションボール特有のデメリットにも要注意です。
消えたら困る大事なメモ書きや公的書類、宛名書きには使わない
フリクションボールを使う際に注意すべき点は、鉛筆書きよりもよっぽど消えやすいということです。
消せるボールペンは普段使いには非常に便利です。
しかし、仕様をよく理解せず多用してしまうと、いずれトラブルに泣くことになります。
例えば夏場においては、消すつもりは全く無かったのに日常の中で普通に高温になって消えてしまうというトラブルが跡を絶ちません。
例えば車内や窓際などで直射日光に熱されると、メモ帳や本を閉じたままだったにもかかわらず中身の記述が全て消えるというケースもあります。
こうしたことは、夏場に限らず冬でも起こりえます。前述したヒーターなどの暖房器具であったり、アツアツの食べ物であったり、機械の排熱であったり……。
ありがちなのは、試験の各種申込みや本番での解答、役所に出す公文書などです。前者であれば字が消えて失格になりかねませんし、後者においてはフリクションボールを悪用した公文書偽造が社会問題となっています。
あるいは、郵送時の宛名書きなどでも使用厳禁です。最悪の場合、発送も返戻も出来なくなる可能性もあります。
フリクションボールでどのようなトラブルが起きても、自己責任になります。試験でも公文書でも大抵は何かしら注意喚起をしているはずですので、救済もされないと考えておいた方が良いです。
よって、フリクションボールは「消せる」というよりも「消えても良い」という感覚で使うのが定石です。
それでも「消えて欲しくないけど後から消したい」のであれば、付箋紙にペン書きして貼ると言った方法もあります。(消す代わりに付箋を剥がす)

道具も適材適所です。フリクションを「ボールペンと鉛筆の中間」のように捉えてしまうと失敗しやすいです。
消えないようにコピー……しても高熱で消える可能性も
これは社会人の仕事上でよくあるケースかも知れませんが、フリクションで書き込みしておいてコピーやスキャンを取れば良いという話も聞きます。
ですが、この場合も機械の排熱に要注意です。
機種や取り込み方によっては、紙面全体が高熱になるケースもあります。そうなると、字が消える前にコピーやスキャンが取れるか分かりませんし、いずれにせよ原本のインクは消えてしまいます。

とは言え、高熱で消えないコピー機・スキャナーさえあれば非常に強力な手法です。
冷やすと一応は復活する…が完全ではない上に全部戻ってしまう

なら……フリクションって消えたら一巻の終わりですか?

いいえ、復活する方法も「一応は」あります。
フリクションボールのインクは、温度変化によって色が変わっていると述べました。
実は、温度がマイナス10度以下になればフリクションのインクの色が復活するという性質もあります。
フリクションで書いたものを高温下に放置していたところ、書いた文字が消えてしまいました。もとに戻す方法はありますか? | よくあるご質問 | PILOT
つまり、冷凍庫に入れておけば「理論上は」インクが復活するということです。
ただし、私が実験した限りでは、復活はしてもインクがやや薄いという印象でした。また、数枚程度の紙であればまだ良いのですが、手帳や本を1冊丸ごと復活できるかは分かりません。
更に厄介な問題として、消えたインクが「全て」元に戻るという点があります。
感覚的には「直近の記述を復活させよう」と思って冷やしても、これまで消してきた全てのフリクションインキも同時に復活してしまいます。
そうなると、書き直しが多いほどカオスな状態になってしまいます。

よって、「冷凍庫に入れれば復活できるから大丈夫」と当てにしない方が良いです。
紙質により字が消えにくいケースや汚れる場合も、試し書き推奨
なお、様々な紙媒体でフリクションを使っていると、インクがいまいち上手く消えないケースもあります。これはラバーで擦ってもドライヤーを当て続けても同じ話です。
よって、まずは端の方で試し書き&試し消しをしてみるのが一番確実です。
あるいは、ラバーで擦って消す場合は、紙に汚れが拡がってしまうケースもあります。
紙質や印字部分が問題であれば仕方ないですが、消去用ラバーが消耗して汚れが取れない、あるいは摩耗してしまっているのであれば、フリクションイレーザーを使うという選択肢もあります。
まとめ・お買い物リスト
以上より、フリクションボールは用途さえ間違えなければ学習効率アップにつながる強力なアイテムです。
- 高温になるとインクが透明化する。
- 解き直しやカンタンなメモ書きには非常に便利。
- ドライヤーなどで熱すれば一括消去も可能。
- ただし消えたら困る書類には絶対に使わない。
- マイナス10度以下になれば復活する可能性も、が期待はできない。
最後に、 フリクションボールのラインナップをまとめます。
替芯は型番に注意、互換性はクローバーの数字で分かれている
先に、替芯の互換性についての注意です。以下が、公式の発表している互換リストです。
一見すると分かりにくいですが、替芯の包装にプリントされたクローバー♣の数字で分類されています。
- クローバー♣2:フリクションポイント&ポイントビズ
- クローバー♣3:フリクションボール(キャップ式の単色)&ビズ、ノック&ノックビズ
- クローバー♣4:フリクションボール3&4(多色用)、スリム&スリムビズ
- クローバー♣5:フリクションボール2ビズ
パッと見では「3=単色用」のように見えますが、単色のフリクションボールスリムの替芯は「4の多色用」になっているという点に特に注意です。
単色でバリバリ書くならフリクションボールノック
まずは、問題集で演習する際や、カラフルな色使いを好まないタイプの方には、単色のフリクションボールノックがオススメです。
外装を気にする方には、フリクションボールノックビズがあります。
見た目はメタリックで、通常版よりも外観は確かに良いです。
ただ、値段が数倍に膨れ上がるという点と、消去用ラバーの部分がキャップ式になっていてすぐに無くしてしまいそうという点から私は敬遠しています。
基本的に、気分を上げる目的か、ビジネスシーンで使う場合にビズ版を選ぶような感じです。
なお、替芯はこちらのクローバー♣3になります。
多色用のフリクションボール4でカンタンに色分け
一方で、複数の色を使う場合はフリクションボール4がオススメです。
替芯はコチラのクローバー♣4になります。
消せる蛍光ペン・フリクションライトは便利
ちなみに、フリクションボールの蛍光ペン版・フリクションライトもあります。
こちらの使用感としては、一般的な蛍光ペンと何ら変わりない書き味です。
それでいてフリクションボールと同じように消せます。
※マーカーとして使う場合は印字部分と被る場合が多いですので、ラバーで消す際には汚れが拡がらないように注意した方が良いです。
※ちなみにソフトカラーというのは文字通り発色がソフトになっているバージョンで、通常版の方はまさに他の蛍光ペンと見分けが付きません。
結びに変えて
最後に、改めてもう一度注意ですが、重要書類や消えて欲しくない書き込みにはくれぐれもフリクションボールを使わないようにしましょう。
冷凍庫に入れて復活を願うのはいわば最終手段のサルベージのようなものですので、最初から当てにするのは危険です。

その代わり、用途さえ間違えなければ極めて便利なのがフリクションボールです。
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