CAPDサイクルで勉強量から学習計画を立てる!計画が苦手でもオススメ|勉強法・教育法⑭

CAPDサイクルで学習計画、勉強量の見える化効率的な勉強法のコツ

 

※当記事は、前回記事で解説したPDCAサイクルの応用編です。

 

前回のPDCAサイクルについてカンタンにおさらいすると、計画→勉強→自己分析→改善策→計画→……とループしていくうちに勉強のやり方の改善も進めていく手法です。

 

でも、結局最初のプランが立てられないんだよなあ。

 

えっ、でも、必要な学習量を日割りするだけで最初の学習計画はできるって話だったでしょ?

その『必要な学習量』ってのも分からないわけだが。

 

おっしゃることはごもっともです。それならば、CAPDサイクルから考えてみてはいかがでしょうか

 

CAPDサイクルとはつまり、「現状の自己分析から始めて必要な計画を立てる」という発想です。

CAPDの発想は、『計画の立て方が分からない方』にとって非常に役に立つ観点です。さらに言えば、CAPDサイクルを意識的に使うつもりが無い方にとっても重要なトピックです。

逆に、『すでに学習計画を立てている方』にとっても、現状を改善するためには重要です。

 

スポンサーリンク

学習計画が立てられないならばいっそ後回しにする

 

まずはじめに、「学習計画を立てようと思っても立てられない」となるのは、将来の見通しが具体的にイメージできないことが原因の核心ではないでしょうか。

 

例えば前々回の目標設定の記事では、『偏差値47の高3生が日東駒専の上位学部(偏差値55)を目指す』といったように、具体的な数値目標を設定しました。

そのように具体的に将来を見据えているのであれば、あとは『日東駒専の上位レベルに対応する問題集を進める』といったように、やるべきことは自然と絞られます

具体性で言うと、小規模の資格試験であれば鉄板の参考書と問題集を揃えてひたすら周回するだけです。人によってはそこに模試が入るだけです。

 

一方、具体的なビジョンが無ければ、具体的な計画を立てるのは困難です。

なぜならば、計画とは目標に到達するためのプロセスを考えるものだからです。

ゴールが決まっていない状態でゴールに至るルートを決めることはできません。

 

私は目標設定から考え直してみたいと思います。

目標設定とかもぅマジ無理……。

それはそれで構いません。それならば計画の立て方自体を変えてしまえば良いのです

 

そのために役立つ考え方こそがCAPDサイクルです。

CAPDというのは以下の頭文字を取ったものです。

  1. Check:自己分析・評価
  2. Action:問題点・課題の改善策
  3. Plan:学習計画
  4. Do:勉強を進めていく

 

つまり、先に現状分析をして、挙がってきた課題に対する改善策をそのまま計画に持ってくるという流れです。

この流れはPDCAサイクルとは違って、計画を後に回す発想にほかなりません。

 

あっ、CAPDってただPDCAの順番を変えただけ……。

そうなのですが、PDCAサイクルはトップダウンで計画から始めるのに対して、CAPDサイクルは必要な対策をボトムアップで挙げていくようなイメージです。

 

スポンサーリンク

PDCAサイクルでCheck・Actionが疎かになっていないか

 

CAPDサイクルの発想は、既にPDCAサイクルの学習計画の作成に取り組んでいる方にとっても重要です。

 

前回記事では、PDCA→PDCA→……とサイクルを回していくことが大切であると述べました。

前回の復習になりますが、CheckとActionでの改善箇所を次のPlanに反映させることで改善が見込めるというのがPDCAサイクルのサイクルたる所以です。

 

一方で、実際にはCheckとActionが疎かになって実質的にP→D→P→D→……となってしまっているケースも多々あることでしょう。

このような「PDサイクル」になってしまうと、本来のPDCAサイクルで得られるはずの自己改善が期待できません。最初から完璧なPlanが立てられるなら別ですが、それは現実的にほぼありえませんので、同じ失敗や問題がそのまま繰り返されることになりかねません

 

それならばいっそCheckとActionから始めれば良い、という発想です。

 

スポンサーリンク

模試や小テストでCAPDサイクルを使う具体例

 

それでは、CAPDサイクルを具体的に使ってみましょう

CAPDサイクルを使ってみる場合は、模試や定期テストを基に始めるのがオススメです。

 

C:データに基づいて定期テストや模試の結果を自己分析する

 

まずはCheckですが、何よりも中心となるのはテストの成績の分析です。

これは全科目の総合点だけではなく、科目ごとに分析する必要があります。更に言えば、小問ごとに弱点を分析することです。

 

ちょっと待って、テストの分析ってどうやるの?

カンタンに言えば、『間違えた問題は教材や問題集のどこを勉強していれば正解できたか』を分析するところからです。

 

学校の定期テストでCheckをする場合は、まずはテストで間違えた問題が教材のどこから出題されていたかを確認します。一番分かりやすいのは、数学の問題集で類題を探してみるといった分析です。

 

……改めて見直したら、なんかもう全体的に壊滅状態だな。

基礎問題は概ね出来てますが、応用問題が出来ていないですね。

 

つまりそこで出来ていない問題こそが改善すべき弱点だということです。

 

まずはCAPD以前の大前提として、間違えた問題は見直しだけに留めずに解き直しも進めます

 

その上で、間違えた問題の傾向を大まかに考えていきます。

  • 単純な知識問題を落としているのか。
  • 基礎レベルの問題を全体的に落としているのか。
  • 基本はできているが、応用問題で落としているのか。
  • 学校の教材にはない、ハイレベルな問題で落としているのか。

 

例えば、難易度がABC3段階で表示されているような問題集であれば、どの難易度から出来ていないのか、ということです。

 

また、全国規模の模試を受けているならば、模試の分析データを使うのがオススメです。

有名どころの模試であれば、小問ごとの弱点分析が掲載されている場合もありますし、各科目の成績を全国基準から客観的に比較することができます。

こうしたデータこそが現在のご自身の立ち位置です。

 

模試の分析データは有益にもかかわらず軽視されがちですので、ここで自分自身の現状を確認しておきましょう。

 

そのための受験料です。データ分析の技術にもお金を払っているということです!有効に使い倒しましょう。

 

具体的な目標設定をしている方は、ここで現時点の成績と目標のギャップを認識します。ただ、特に目標が無い場合でも、CAPDサイクルであれば「今の自分に足りない実力は何か」という現実ベースから勉強について考えることが出来ます。

 

A:具体的に何を勉強すれば問題を解けるようになるか

 

自分自身の現状を分析できれば、次はその分析した課題に対する改善策です。

 

例えば、先ほどのCheckで挙げた定期テストの分析例であれば、大まかに言って以下のような方法が考えられます。

  • 単純な知識問題を落としている→知識問題をまとめた問題集を回す
  • 基礎レベルの問題を全体的に落としている→基礎レベルの問題だけを全体的に解き直す
  • 基本は分かるが、応用問題で落としている→応用レベルの問題だけを全体的に解き直す
  • 学校の教材にはない、ハイレベルな問題より高みを目指すなら教材を追加購入する
  • 特に苦手な単元があれば、その単元を基礎から調べる、あるいは先生等に質問する。

 

もしも現在使っている問題集にABC3段階や星の数などの難易度が表記されていれば、まずはシンプルに難易度表示を基準に考えてみると良いです。

仮に難易度Aが全体的に出来ていないのであれば、難易度B・Cは棚上げして難易度Aだけをまず1周して固める方が良いです。その上で、間違えた問題は見直し・解き直しをして、間違えた問題や自信のない部分を更にもう1周解き直してみましょう

 

えっ、本当にBとCは放置して良いの?

どんな科目においても、基礎が出来ていないのが一番の問題です。もちろんいずれB・Cも出来れば理想ですが、最優先は難易度Aです。

 

例えば、高校数学の教材の王道といえば『チャート式』シリーズが有名です。

チャート式の特徴は、「赤>青>黄>白」と難易度によって色分けがされています。

 

ここで、教科書レベルの例題や基礎がイマイチ理解できていないのであれば迷わず白チャートで構いません。白チャートに物足りなさを感じるようになったら、そのときに問題集のレベルを上げれば良いというだけです。


チャート式基礎と演習数学I+A

 

一方、進学校や塾で青チャートを使っている場合でも、まずは例題を回して解法パターンを固める方が先決です。


チャート式基礎からの数学I+A

 

課題の克服について考える時は、必要な勉強量を基礎から積み上げる意識で検討を進めましょう。

 

こうして進めるべき問題レベルが見えてくれば、あとは必要な範囲を確認するだけで演習するべきページ数が決まります

単純に言えば、『範囲の最初のページから最後のページまで』です。

 

P:必要な勉強量・ページ数を残り日数で割るだけ

 

CheckとActionが出来れば、いよいよ計画です。

ただ、計画とは言っても、ここまでの自己分析ができていれば『やるべきこと』は自然と決まってきます

 

例えば、数学の問題集で換算して40ページ分を1ヶ月で復習するとしましょう。

 

次は週割りします。具体的には、40ページ÷4週=10ページを1週間で進める計算になります。

そして1週間のうち5日間勉強するとすれば、10ページ÷5日=2ページを1日で進めれば良いという計算になります。

 

ポイントは、毎日カツカツに予定を入れ過ぎないことです。計画倒れしてイヤになって辞めてしまうのが一番の問題です

 

では、これを5科目全体で進めるとしましょう。

1ヶ月で、国語を長文の大問4題分、英語・数学・理科・社会をそれぞれ40ページずつ進めるとすれば、1日あたりに必要な学習量は下図の通りになります。

 

 

国語は土日で大問1題を進めるとして、1日あたり2ページ×4科目進めていけば1ヶ月で全科目の単元を底上げできるという計画になります。

 

なんとなくやれそうな量には思えるけど、実際やってみるとホイホイ進まないような気がする。

だからこそ週2日分を丸々予備として残しています。

 

この予備の2日分を5日間で進まなかった分のフォローに使うのも一つですし、リフレッシュに使うのも一つですし、意欲があれば5日分の解き直しに使うのも一つです。

 

こうした学習量の計算は、次の定期テストや模試へ向けての試験勉強にこそ効果を発揮します。

具体的には、ザックリと試験範囲をリスト化して、試験範囲の問題集のページ数を確認して、残り日数で週割り・日割りすれば良いという話です。単語帳を使う場合も同じです。

その際には、なるべく『試験2週間前には全範囲を1周終わらせる』くらいのペースで進めるのが理想です。そうすれば、残り2週間は超スピードで2周目・3周目を回せば良いことになります。

 

もしも定期テストも見据えつつ過去の弱点克服も進めるのであれば、単純に先ほど計算した分と足し合わせれば良いということになります。

 

実際に計画通りにできるかどうかを考えるのは後回しで構いませんので、まずは計画を自分で回してみましょう

最初の計画が現実とズレていたとしても、「サイクルを回していくうちに自己改善が進む」という点こそがCAPDサイクルの強みです。

(この点はPDCAサイクルも同じですが、分析・改善に意識的に重点を置くのがCAPDサイクルの特徴です)

 

目標設定を以前から行なっていた場合は、ここで目標を上げるも下げるも自分の判断次第です。いずれにせよ、目標と現状の成績とのギャップが大きい科目・分野ほど計画段階で学習量を増やすことになります。(もちろん長所を更に伸ばすのもアリです)

 

D:日々の勉強を進める、ここで前後の計画と分析も意識する

 

ここまでくれば、あとは勉強を進めていくだけです。

その際、先ほどの計画で日割り計算した勉強量をこなしていきます。

 

1日の勉強の進め方については前回記事のPDCAサイクルを使った方が分かりやすいです。

 

日々の勉強を進めるイメージとしては、マクロスケールのサイクルの中にミクロなサイクルがたくさん入っているような感じです。

当記事の例えで言うと、月単位のCAPDサイクルに基づいて一日単位のPDCAサイクルを回していくような要領です。

 

勉強を進める時のコツは、前後のPlanとCheck・Actionにつながるように勉強を進めると言うことです。

逆に言えば、行き当たりばったりに勉強するのを控えるということです。

 

でも、ぶっちゃけ計画とか分析とかって面倒じゃない?

もちろん勉強の進め方は個人の自由ですが、見通しの無い状態で毎日黙々と勉強を進める方が結果的に辛いのではないでしょうか。

 

……何も言えねえ。

 

1周目の実践をフィードバックして2周目のCAPDサイクルを回す

 

こうして1~2ヶ月に渡り戦略的に試験勉強を進めた上で、次のテストを受けることになります。

 

そしてテスト結果が返ってきたら、2周目のCAPDサイクルに入ります

やるべき自己分析や改善は、基本的に1周目で考えてきたことと同じです。

 

ですが、2周目以降のサイクルで大きく変わるのは、1周目のサイクルからフィードバックして学習の仕方それ自体も改善できるということです。

 

例えば、ありがちな例としては、『ついつい勉強をサボって遊んでしまった』という失敗があることでしょう。

それならば、2周目では「どうやって勉強する習慣を身につけるか」も改善ポイントとして織り込めば良いのです。具体的な改善策としては、まずは「どのような方法があるか調べる」ところから始まるかと思います。

 

あるいは試験本番でのメンタルが問題であればメンタルをトレーニングすれば良いですし、独学に限界を感じるのであれば個別指導塾やネット教材などの手段に頼るのも有力な選択肢の一つです。

オンライン家庭教師の「Axisオンライン」無料体験申し込み

 

また、1周目で学習スケジュールがカツカツだったならば、もっと先駆けて復習を進めていくという計画もありますし、生活の流れ全体を見直すのも大切な自己改善策です。

あるいは『途中でスケジュール感が分からなくなった』というのが原因であれば、スケジュール帳で時間管理する習慣をつければ良いのです。

 

1周目の時点で目標設定をしていた場合は、目標を実際に達成できたかどうかも非常に重要なポイントです。

ここで目標達成できたならば、良い流れのまま同じサイクルを続けていくか、あるいは目標を上げるかといった判断ができます。

目標を上げるならば、今の学習ペースをどれほど変えるか(あるいは変えないか)の判断によって計画も変わってくることになります。

 

もしも目標達成できなかったならば、『現実との乖離』、つまり実際の成績と目標がどれだけ離れていたかが分析のカギになります。

目標が高すぎたと感じるのであれば目標自体を下げて現実的な学習プランを立て直すのも一つですし、学習ペースが緩すぎたと感じるのであれば学習量を増やすことも検討する必要があります。

 

大切なのは、実践を踏まえて改善策に落とし込むという意識です。たとえ少しずつでも改善していけば、サイクルを回すごとに確実に成長していくことができます。

 

スポンサーリンク

まとめ

 

以上のように、CAPDサイクルとは、自己分析・改善に重きを置いた学習の進め方です。

現状+成長=目標達成」になるわけですから、まずは現状分析することが学習量を見積もる足掛かりになります。

 

CAPDサイクルにおいて大切なのは、もちろん的確な自己分析と改善策の検討も重要ですが、そこから改善策を実際に計画に落とし込んで実行に移すことが必須です。

そうして実践してみた過程・結果を基にして、更に分析して改善していくことこそが『サイクル』たる所以です。

 

学習量の見通しが立つことによって、五里霧中で勉強を続ける時と比べてより戦略的かつ楽に学習を進めることが出来ます

 

NEXT →

 

目標設定についての解説はこちら

勉強の目標の立て方は長期→中期→短期目標で!簡単な目標設定の例|勉強法・教育法⑫

※CAPDサイクルの前提として『解き直し』の重要性を理解することが大切です。

解き直しこそがコスパ最強の復習勉強!模試やテストに限らず問題演習から解き直す|勉強法・教育法②

※自己分析は必ずアウトカム=結果を基にしましょう。

理解度の確認方法はアウトカムが中心!「分かったつもり勉強」を改善する|勉強法・教育法⑨

 

※連載シリーズ①「ロジック基本講義(国・英・長文読解)」→ 各話リスト

※連載シリーズ②「効率的な勉強法」→ 各話リスト

コメント

タイトルとURLをコピーしました