文系数学の勉強法は解法パターン暗記から!本質理解と暗記学習を両立するやり方|勉強法・教育法㉑

数学の勉強方法は解法パターン暗記、勉強は覚えゲー効率的な勉強法のコツ

 

私は個別指導塾で講師歴がありますが、私の一番の得意科目が国語であるにもかかわらず数学の需要が圧倒的に高い状態でした。

その中で痛感したのは、数学の勉強の仕方それ自体がよく分かっていないという生徒さんが非常に多い、ということです。これは文理関係なく個々人の問題です。

 

数学って結局はセンスが全てなんじゃないの?

いいえ、センター試験+αのレベルを想定すると、中学・高校数学は解法をパターン化し暗記することで大筋の対応ができます

 

なお、ここで言う暗記とは、単に「公式を暗記しましょう」という話ではありません。

問題自体を類型化して、問題の類型に合わせて解法もパターンに落とし込む、という話です。

これらは受験数学に限らず、公務員試験の数的推理などの様々な分野において基本レベルの習得に役立つ効果的な学習手段です。

 

当記事では、中学数学~センター試験9割超え安定のレベルを範囲として想定しています。難関大学の中でも難問に当たるような問題や、大学以降の数学とは話の次元が違いますので、ご了承ください。

 

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勉強の基本は覚えゲー!RTAのようにパターン化する

 

まず、数学の話に入る前に、パターン化の重要性について確認しましょう。分かりやすい例は、いわゆる「覚えゲー」です。

 

覚えゲーの筆頭として分かりやすいのは、シューティングゲームです。

  • ここの道中ではこのタイミングで敵が来るから前に張り付いて即効で倒す。
  • ここは全部自機狙いが来るから小刻みに右に避けつつ敵を撃破、ここで切り返す。
  • ここでは弾の密度が高いが、この位置には弾が全く来ない。(いわゆる安全地帯)
  • このボスの攻撃は4種類のパターンから選ばれる、だから4通りの攻略法を覚える。
  • ここは単純なパターンが当てはまらない(発展問題)のでここまで集中力を温存させておいて気合い避け。

 

パターンハメこそが正義!パターン入った!

 

先生!未経験者には何がなんだか分かりません!

それでしたら、世界的に有名なスーパーマリオを例にしましょう。

例えば、マリオのRTA(リアルタイムアタック)もまさにパターン暗記が基本です。

 

RTAとは、ゲーム内のプレイ時間ではなく現実時間で最速クリアを目指すような競技です。

(一方、TASはツールを使って何千回・何万回とセーブロードを繰り返し理論値を目指す)

 

マリオのようなアクションゲームのRTAともなると、1フレーム単位(0.1秒以下)でラップタイムの最速を目指すことが求められます。

そのために、フレーム単位の操作に至るまで攻略パターンを構築して覚えます

 

他にも、格ゲーであれば技の有利不利やキャラごとの対策、音ゲーであれば音楽に加えて譜面のパターンも体感で覚える、ローグライクゲームであればキャラビルドに応じたモンスター対策のパターン化などです。

 

このように攻略法のパターン化が出来るのは、敵の配置やステージが同じようなパターンで現れるからです。

パターン化の傾向の強いゲームでアドリブの実力勝負を強いられるのは、操作ミスをした時のフォローやランダム要素が部分的に挟まる場合など、パターンから外れた時です。

 

つまり、同じ問題が出たら同じパターンで解けるってことですね!

勉強の場合は、それこそがまさに「基礎問題」です。

数学に限らず、勉強の基本は覚えゲーのようなものです!

 

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数学はセンス?いいえ解法パターン暗記が基本です

 

「数学的センス・才能は個人差が激しい」というのは現実

 

まずはじめに、数学はセンスで生まれつきの才能だ」というのは否定し難い事実です。

私からすると、数学は国語どころではなく生まれつきの『脳力の差』が凄まじく大きいです。

 

分かりやすい例でいうと、立体図形の問題があります。

立体図形の才能の一角を成すのは、「脳内で立体を立体のまま扱う」という空間認識能力です。

 

立体を立体のままってつまり……どういうことだってばよ?

例えば、マンガの1シーンを複数アングルから描くとしましょう。

その時、脳内で位置関係や奥行きを3次元的に認識できていないと正確な別アングルは描けません。距離感がズレます。

 

それが描けるとは……やはり天才か。

 

マンガよりも直接的な例では、彫刻家が脳内で作品の立体イメージを形成するのもまた空間認識能力です。これは、正面図が浮かぶというレベルではなく、様々な角度からの視覚イメージを形成するということです。(私には認識できないため伝聞の話です)

こうした空間認識能力は、トレーニングでいくらか鍛えることはできても、現実的には限界があります。(もしも誰でも限界を超えられる方法があるならば、人為的に天才を量産できるはずですが、そのようなシステムは見受けられません。)

 

もちろん、立体図形だけでなく、数式・方程式メインの分野でもまた顕著な才能の差が現れてきます。

 

例えば、常人が10時間~20時間かけてなんとか理解できるような単元でも、数学の才能があれば数十分も掛からずに本質まで理解できてしまうかも知れません。

それはつまり、単純に学習スピードが10倍以上違うということを意味します。

もはや『努力すれば必ず勝てる』と言っている場合ではありません。

 

あるいは、常人がどれだけ考えても分からない難問を、数学的センスの高い人は閃きであっさり解いてしまうようなケースも多々あります。また、小学生で大学数学をホイホイ解けるようなケースもあります。

それは文字通り超えられない壁があるということになります。

 

こうした個人差はどのようなジャンルでも付き物です。

とは言え、小中高校生の指導経験も踏まえると、数学はこうした個人差が特に激しい科目であることは事実です。

 

凡人の戦い方の例:立体図形は平面ベースで切って考え、パターン蓄積

 

では数学は常人にはどうしようもない科目なのかと言うと、それもまた違います

 

例えば先ほどの立体図形であれば、平面ベースで切って考えるのが常套手段です。

要するに、「立体を立体のまま認知できないなら平面の組み合わせで考えれば良い」ということです。

 

平面ベースってどういうことですか?

実際に下図を見てもらったほうが分かるかと思います。

立体図形は平面ベースで切る多角柱をすでに学習している方からすれば、パッと見で六角柱の展開図と底面・側面だと分かるはずです。

 

それが出来るのは、まさに展開図のパターンに当てはめて判断しているからに他なりません。

具体的に言葉にすると、「同じ底面が平行に2枚あり、側面が底面の辺と同じ数の長方形」といった具合ですが、定義を言葉で暗記できていなくともパッと見のパターンで分かります

 

逆に、立体図形の問題を考える際には、「高さが分かる断面」や「底面に当たる部分」など、問題のアプローチにつながるような箇所を平面ベースで探すはずです。(言い方を変えると、平面が分からないと立体も分かりません)

 

上で挙げた図は単純な六角柱ですので、そこまで考えずともカンタンに分かるかと思います。

ですが、パッと見で分かりにくい立体図形の問題ほど、いかに上手く平面図に切り出して考えられるかがカギになってきます。例えば「高さを計算できるような、底面と垂直な平面で切る」と言った具合です。

 

もちろん問題が複雑になればなるほど、結局は空間認識能力が関わってくることになります。

ですが、常人でも様々な立体図形の頻出パターンを経験から積み重ねて学習できるという点は非常に大きいです。

つまり、天性の才能が無くとも一つずつ解法パターンの蓄積をしていくことで一歩ずつ成長できるということです。

 

数学は暗記科目、例題は解法をパターン化するためにある

 

難関レベルの応用問題は置いておくとして、高校数学の基礎レベルはむしろ暗記科目の色が強いです。

でも、数学って社会の年号暗記みたいなのとは全然違うんじゃ?

ここで言う暗記こそが、まさに解法パターン暗記です。

 

例えば、三次関数y=f(x)のグラフの書き方について考えてみましょう。

  1. f(x)を微分する。
  2. 二次関数f'(x)のグラフをカンタンに書く。
  3. 2のグラフの正負、x軸との交点(f'(x)=0)を確認する。
  4. 増減表を埋める。
  5. グラフに落とし込む。(f(x)が因数分解できればx軸との交点も分かる。)

 

ここで、2のグラフが上に凸であったり下に凸であったり、あるいはx軸との交点が1個・0個のケースがあったりするかと思います。

ですが、それらは結局のところパターンの組み合わせに集約されます。

 

これらを覚えてしまえば、あとは係数が変わるだけで作業の流れ自体は一定のパターンになります。

数学の苦手な方は微分積分と聞いただけで拒否反応が出るかも知れませんが、こうした基礎の部分は、同じパターンの機械的な繰り返しから成り立ちます。

 

また、教科書や参考書などの冒頭には例題が掲載されているものも多いと思います。

実はあのような例題は、解法パターンを分析して覚えるための素材になります

単純な年号暗記とは違い、ある基本問題に対する着眼の仕方、公式の当てはめ、解法という一連の解答プロセスの流れそのものがパターン化できるということです。

 

高校数学の王道教材であるチャート式も、まさに解法パターン暗記のための教材です。

具体的に言えば、チャート式の例題はそのまんま頻出パターンをまとめたものです。

 

チャート式を見たことのある方はご存知の通り、例題だけでも非常に豊富です。

それが意味するのは、例題のバリエーションの数だけパターンがあるということです。

(もちろん例題以外の問題も進めれば更に蓄積は増えますが、まずは例題を周回して基礎を固めることです)

 

そうした解法パターンを覚えてしまえば、あとは同じパターンの問題が出たらそのまま当てはめるだけです。

なお、応用問題も、大抵はそうした基本パターンをどのように当てはめられるかが勝負の分かれ目になります。(もしもパターンが丸っきり当てはまらないならばそこからが地力の勝負です)

 

ハイレベルな問題はパターン暗記だけでは難しいですが、それは基本が一通り出来るようになってから取り組むべきことです。

 

閃きや別解探しは基本レベルを超えた人向け、むしろ運頼りを減らすべし

 

数学の好きな方がよく言うことに、エレガントな別解探しがあります。

確かに別解を探す過程で数学的な理解が更に深まるでしょうし、数学自体が美学と密接な関係にあるため、一理あります。

 

ですが、それらはオーソドックスな解き方も出来た上での話です。

まずは、数学が不得意な方ほどいかに基本パターンに落とし込むかという観点から進めていくのがオススメです。

既知のパターンに当てはめることが出来れば、計算ミスをしない限りは知識で確実に解けることになります。

 

一方、自分の学んできた既知のパターンから外れた別解というのは、まさしくその場での閃きによる解法と言えます。

そうした閃きに頼って問題を解くというのは、余程の数学的な能力がなければ運頼みと同じです。

ですので、普通の人にとっては、試験本番で閃きに頼るのは最終手段と考えておいた方が良いです。

 

逆に考えると、解法パターン暗記こそが運要素を極力減らして基礎から着実に固める学習法です。

 

もちろん数学好きであれば、別解探しでも数学的センスそれ自体の訓練でも、何でも積極的に吸収するのは良いことです。理系はもちろん、文系でも情報系・経済学・統計学・ビジネス分野などで数学的思考力は極めて有用です。

 

「暗記と理解のどっちが先か」でなく、パターン化と理解を両立させる

 

ここまでパターン暗記を推してきましたが、一方で疑問も湧くかも知れません。

それは、「暗記よりもまずは理解ではないか」という疑問です。そうした疑問はもっともですし、指導者によってその意味するところも違ってくるかも知れません。

 

この点について、もちろん「最初から本質的な理解が出来るのであれば」それが理想ではあります。

一方で、理解から入る方法は人によって限度があるのもまた事実です。特に個別指導の経験上、その辺りは個人差が非常に大きいということを痛感します。

 

 

もっとストレートに言うと、「最初から本質を理解できれば誰も苦労しない」ということです。

 

ですので、理解にこだわって結局問題が解けないという状況に陥るよりも、パターン暗記で基本問題だけでも確実に出来るようになる方が遥かに建設的です。

そして、パターン暗記の後で、もしくはパターン暗記と並行して理解度の向上に努めていけば良いだけの話です。

 

私自身、解法のパターンを追って記憶していく「過程」で理解が進むような経験を数え切れないほど積んできました。

 

また、解法のパターン化という観点は、数学が得意な人にとっても重要です。

 

例えば、試験問題では全て本質的な理解から出発して解答しているでしょうか。公式は全て証明過程から演繹的に導き出しているでしょうか。

先ほど挙げた増減表の解答も、毎回ゼロの状態から方法を考え出しているでしょうか。

関数の応用問題で、まずは二次関数の頂点を求めるためにはどのような方法が……とゼロから考えていくでしょうか。

 

全ての思考過程を根本的な部分から導いていくのは、非効率なはずです。

数学的な理解力の高い方でも、いや数学の得意な方こそ既知のパターンを問題に上手く当てはめることが出来るはずです。

 

実際のところ、「暗記か理解か」という排他的な二者択一の話とは違います

解法パターンの当てはめで済む部分を当てはめてしまえば、それで問題は解決ですし、効率化した分だけ思考を他の領域に割くこともできます

つまりパターン化が脳のリソースの節約とスピードアップにもつながります。

 

まずは何より、今の自分にとって出来ることから進めましょう。数学の苦手な方は、得意な人のやり方に合わせる必要はありません。

 

なお、私自身、微分積分は完全にパターン暗記でカバーしましたが、センター数学は9割以上で安定でした。(東大数学は平均程度)その後、大学で経済原論を学んでから、ようやく「傾き(変化率)と面積の関係」というのが「感覚として」腑に落ちました。

 

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数学以外の勉強でも解法パターン暗記は基本

 

以上、解法パターン暗記の代表例である数学を中心に解説しました。

ですが、もちろん他の科目でも解法のパターン化は基本技術です。

 

例えば、英語でSVOCを使った5文型から説明するのも、パターン化の代表例です。

(本来、SVOC(主語・述語・目的語・補語)というのは英語の品詞の中では一部に過ぎないのですが、『日本では』文の骨格を説明するためにこのパターンがよく使われています。)

あるいは、イディオムというのも結局は言葉の組み合わせのパターンです。

 

更に言えば、「論理的思考のコツ・本質講義」でも繰り返し述べたように、国語・英語の長文読解の論理展開はミクロ・マクロ両面で頻出パターンだらけです。

 

もちろん、古文漢文も基本的にはパターンの組み合わせです。

特に古文は、分析するべき箇所をパターン化しておかないと、それだけでスタートラインが変わってしまうレベルです。

古文の解き方のコツは敬語!主語・目的語の省略を尊敬語・謙譲語で識別する|論理的思考のコツ㉒

 

小論文の論述も、頻出論点の模範解答をパターンとして暗記していき、似たような出題パターンが出たら問題に応じてアレンジを加えて書くのが定石です。

 

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まとめ

 

以上のように、解法パターンをつかんで覚えていくことこそが勉強の基本です。

各教材にある単元ごとの例題や頻出論点も、パターンを学んで覚えるための素材です。

 

学習内容の基本的な部分に苦しんでいる方は、とりあえず基本レベルをパターン暗記でカバーしつつ同時に理解を図る方が、成績的にも精神的にもオススメです

逆に十二分に内容を理解できている方は、解法のパターン化によって問題解答の大幅な効率化も可能になります

そうして、解法パターン暗記は内容理解とも両立します

 

特に勉強が捗っていない人ほど、勘頼りではなく「勉強は覚えゲーの攻略だ」という観点を意識してみましょう

 

例題の演習についてより具体的に言うと、「例題の設問を見ただけで解答に至るまでの解法がパターンとして見えてくる」ような状態です。そうしたパターンを組み合わせることで、応用問題も少しずつ解けるようにするというのが一般人にとっての手堅い勉強法です。

 

なお、『本質を理解しないと発展問題は解けない』というのは、あくまでも基本レベル+αが一通り出来てから「その先」を目指す場合の話です。

求めるべき学習のレベルは、各々の理解力に応じて変わってきます

そのような中にあって、解法のパターン化は様々なレベルで役立つ方法なのです

 

※英語の学習法についてはコチラ

 

※連載シリーズ①「ロジック基本講義(国・英・長文読解)」→ 各話リスト

※連載シリーズ②「効率的な勉強法」→ 各話リスト

 

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