以前の記事では、ボールペンと万年筆について解説しました。
勉強のボールペンはジェットストリームがオススメ!インクのかすれる替芯は予備で対策│勉強アイテム・文房具①
勉強には万年筆コクーンがオススメ!初心者向けで安いのに書きやすい│勉強アイテム・文房具②

でも、試験本番では鉛筆かシャープペンしか使えないってのがほとんどですよね。中高生だと特に。

ああ、そんでシャープペン書きはマジで疲れる。

それならば、シャープペンの選び方についても考えていきましょう。
試験本番でも普段の勉強でもシャープペンがメインという方にとっては、シャープペンの使いやすさというのは学習のパフォーマンスに直結する大事な要素です。
そこで、勉強にとってプラスとなるようなシャープペンのオススメについてご紹介していきたいと思います。
最強のシャープペンは個々の握り方・使い方で人それぞれ違う
まず注意すべきポイントは、「最強のボールペンは人それぞれ違ってくる」という点です。
この点に関連して、大学教授による筆記具の研究が公開されています。
疲れにくい筆記具と持ち方を直す用具 2003.05.03 押木秀樹
このリンク先の記事では、筆記具の持ち方について写真を使って具体的に解説していますので、詳細を知りたい方はご参照下さい。記事自体は古いですが、人体構造は変わらないので本質的には今も通用する話です。
その中でも、結論部分で以下のような注意を述べています。
たまに、具体的にどのメーカーの何という筆記具が良いかという質問をされる方も、いらっしゃいます。私は、そのような質問には、答えることができません。特定のメーカーの製品を薦める訳にもいかないという理由もありますが、やはり、一人一人持ち方によっても、適切な筆記具が異なる可能性があるからです。本稿において、その理由がわかっていただけると幸いです。
私は個別指導塾での指導歴がありますが、実際のところ筆記具の握り方の個人差というのは非常に大きいです。グーで握るようなスタイルや、人差し指に力が入りすぎて第2関節が直角になっているケースなど実に個人差の幅が広いです。
加えて言えば、右利きか左利きかでも力の入れ具合は大きく変わります。実際、私自身も右手で筆記する時と左手で筆記する時とでは、同じ人間が書いているにもかかわらず持ち方が違います。

サッカーで右足でも左足でも同じように扱える選手というのは本当に凄いと思います。

……サッカーと違ってそもそも右手でも左手でも字を書く人自体がレアだと思います。
※筆記具で利き手を無理に矯正するのは控えましょう。
また、筆記具というものは重心や重量にも個性があります。
私自身、万年筆ユーザーに移行するまでは隙あらばペン回しをしていたのですが、回すペンによって重量バランスは千差万別です。
ペン回しの場合はモロに遠心力が掛かるため違いが顕著に分かるのですが、普段の学習や試験においても、筆記量を重ねるにつれて手に掛かる負担に差が出てきます。
そして手首の負担という点ではグリップの違いというのも非常に大きなポイントです。
よって、ここからは複数の方向性からのおすすめシャープペンをご紹介しますので、参考になれば幸いです。

「どれが万人にとって最強か」ではなく、あくまでも「自分に合ったモノを見つける」という観点が大切です。
※なお、記事タイトルの通り、高級シャープペンは勘定に入れないこととします。
後で消すことが目的ならフリクションボールに分がある
シャープペンのオススメに入る前に、もう一点あります。
それは、「とにかく後でカンタンに消せるようにしたい」というのが主目的であればフリクションボールの方が適している、ということです。
フリクションボールは俗に「消せるボールペン」と呼ばれていることから、私はてっきりボールペンと鉛筆の中間のようなものだと思っていました。
ですが、上の記事でも述べているように、フリクションのインキは鉛筆の炭よりも遥かに消えやすいというのが特徴です。(詳しくは上のリンクを参照)
よって、「とにかく後で消したい」という部分に重点を置いているならばフリクションの方がオススメです。
容易に消しやすく消し跡が目立ちにくいため、特に問題集などに直接書き込みをする際に真価を発揮します。
ただし重大な注意点として、試験や提出物でのフリクション使用は厳禁です。
もしフリクションの筆記が熱で全部消えてしまったとしても、誰も救済してくれません。

そのため、ボールペン不可の筆記試験に臨むならばやはりシャープペンがメイン装備となります。
複数の方向性から見たシャープペンのオススメ
以上を踏まえて、私が実際に使用経験のあるシャープペンの中から特徴的なものをオススメしてみたいと思います。

繰り返しになりますが、「自分に合っているか否か」が第一です。
ドクターグリップ:真価はフレフレ機能よりも低重心とグリップの太さ
まずは、老舗のドクターグリップです。最初のモデルは1991年発売で、まさにロングセラーの名品です。
ドクターグリップの特徴と言えば、普通はフレフレ機能が挙げられます。
これは、ドクターグリップの本体内部に金属の錘が入っており、ペンの頭をノックせずとも本体を縦に振るだけでノックしたかのように芯が出せるという機能です。
ですが、私としてはこのフレフレ機能には特にメリットを感じませんでした。
むしろ、ドクターグリップで特徴的なポイントはこの金属の錘による低重心と軸の太さにあります。
一見すると大型で手が疲れそうに見えますが、低重心ゆえにペンの上部に遠心力が掛かりにくく扱いやすいと感じます。
また、巷の細身のシャープペンが手に合わない人にとっては有力な選択肢です。

「グリップ感は良いけど重さがネック」と感じる方は、中身の金属の筒を抜くことをオススメします。普通に外せます。
グラフギア1000:細身ながら金属的な重量感があり壊れにくい
次は、値段の割に本格派のグラフギア1000です。
イメージはYoutubeの公式動画で大体把握できるかと思います。
動画で挙げられているように、ペン先が長く製図がしやすいという点は頷けます。今の私の場合はアナログで製図する機会がほぼありませんが、理数系科目の学習をする際には活きるのではないでしょうか。
また、一見すると滑りやすそうな金属質のボディですが、実際のところグリップ感は非常に強くブレにくいです。
加えて、使わない時はペン先を完全に内部に収納できますので、ボディも含めて壊れにくく頑丈という点も大きなメリットです。
動画では伝わらない重要なポイントとして、非常に細身ながら金属質で重いという点があります。
ここがまさに先ほど述べた「人それぞれ」の部分が強く出る部分で、アマゾンレビューで★4.5に迫る評判でも合わない人には合わないことでしょう。

シャープペンとしてのクオリティの高さは確かです。あとは本当に人それぞれの部分になります。
クルトガアルファゲル:疲れにくいグリップと芯の尖り具合の両立
続いて、広く一般向けにオススメしたいクルトガ アルファゲルです。
まず、クルトガというのは、芯が少しずつ回転していくことで片面だけ擦り減った状態になりにくく、常に芯がトガッた状態に保たれるという機構です。
これにより、芯の尖った部分に合わせてペンを手で回す必要がなくなります。
そこに弾力性の高いアルファゲルのグリップを採用したのがクルトガアルファゲルです。
なお、重量感については先ほどの2本と比べると軽い部類で、太さは中間といったところです。(そこも一般向けとして推奨する理由です)

人によってはペン先の微細なグラつき感が気になるようですが、個人的には「迷ったらコレ」という一品です。
ユニアルファゲルやわらかめ:グリップが柔らかい、なおかつ弾力感
なお、クルトガアルファゲルのグリップは、通常のアルファゲルと比べるとそこまで柔らかくない感覚です。
よって、「クルトガ機能無しで良いのでもっと柔らかいグリップが欲しい」という方には本家のユニアルファゲルやわらかめがオススメです。

とにかくグリップがフニフニで柔らかく、それでいて弾力感もありますので、相性が良ければ大きな負担軽減に繋がります。
強い筆圧でも芯が折れないシャープペン?むしろ筆圧を弱めるべし
なお、近年では筆圧が強くても芯が折れにくいシャープペンが人気を博しています。
確かに人気ランキング的にもレビュー的にも好評なのは間違いありませんし、合う人にとっては非常に良い物であるはずです。
ですが、私としては商品それ自体の評価とは別の観点からオススメしません。
その観点とは、筆圧それ自体を弱めた方が手首の負担軽減になり勉強のパフォーマンス向上につながる、という考えです。
これは、以前の記事で万年筆を推した理由と共通する観点です。
勉強には万年筆コクーンがオススメ!初心者向けで安いのに書きやすい│勉強アイテム・文房具②
つまり、「筆圧が強すぎて芯がすぐ折れる→だから芯が折れにくいシャープペン」よりも、「だから筆圧を弱めてみよう」という発想に転換する、ということです。
このように述べるのは、昔の私自身がまさに筆圧の非常に強いタイプだったからです。
そして実際のところ、ジェットストリームや万年筆を通して筆圧が緩和されたことによってシャープペン書きの筆記も楽になったという経験があります。

筆圧を弱めるのが大変なことは重々承知ですが、それでも筆圧が強すぎる状態は改善した方が良いと考えます。
多機能ペンのシャープペンは試験本番で使えない可能性も
ここで、ジェットストリームの記事でご紹介したピュアモルトのように、多機能ペンの中のシャープペンをそのまま使い続ければ良いのでは、と考える方も居るかも知れません。
ですが、試験によっては多機能ペンそれ自体が許されないというケースもあるので要注意です。
例えば、センター試験の規定を見てみましょう。
シャープペンについては、以下のように述べています。
シャープペンシルを使用してマークした場合には,解答が読み取れないことがありますので,使用しないでください。ただし,メモや計算に限ってはシャープペンシル(黒い芯に限る。)を使用しても差し支えありません。
この書き方からすると、「シャープペン持ち込み禁止、使ったら即失格」という意味の禁止ではありません。実際問題として、普通にシャープペンでマークも塗っている受験生はいくらでも居ます。
ただし、シャープペンで塗ったマークを機械が上手く判定できなくても自己責任である、という注意喚起の意味合いが強いように伺えます。
一方で、このような回答もあります。
試験時間中は赤鉛筆,マーカーを使用することはできません。また,机の上に置くこともできません。万が一,机の上に置いている場合には,解答を一時中断させて,試験終了まで預かることがあります。
これは、明確に赤鉛筆の持ち込み禁止を宣言しているも同然です。
よって、赤鉛筆ですら持ち込み禁止ということですから、ましてや多色ペンは机に置くことすら許されないと解釈した方が安全です。
(先ほどのシャープペンについての回答と比較すると言い回しの違いが分かりやすいです)

でも、なんやかんやで大目に見てくれるんじゃないの?

そう考えるのも自由ですが、センター国語では文章を読むために定規を使っただけで全科目失格になったケースが実在します。
1000RT:【全科目無効に】センター試験の国語で定規使用、不正行為と認定https://t.co/iIsWaV4RYW
定規を当てて国語の問題文を読んでいたという。大学入試センターは定規の使用禁止を明記しているため不正行為と認定。 pic.twitter.com/4rLWusaPtZ
— ライブドアニュース (@livedoornews) January 21, 2019

……ある意味でホラー映画よりも怖いな。

試験案内はちゃんと読み込まないといけないですね。
替芯はナノダイヤが高コスパ、後は濃さ・硬さのチョイスを
なお、私としてはシャープペンの替芯はユニのナノダイヤが一押しです。
商品説明にもある通り、芯が折れにくく、硬度の割に描線が濃く、それでいて消しやすいというのは実際に私も実感するところです。
それでいて40本×3パック入りで440円という驚異の高コスパです。(※記事作成当初のAmazon価格)
なお、一般的に芯の硬度はBが中間的で、特に筆圧が弱めな人は2B、逆に筆圧が強めな人はHBをチョイスするような具合です。
ただ、ナノダイヤの場合はBでも濃さと強度の高さが両立しやすいため、特に好みが無ければまずは中間のBから始めてみて構わないように思われます。

硬度?HBとか2Bとかって芯の濃さのことじゃないの?

実際は硬度ありきで、硬度が変わると濃さも変わるという理屈です。
まとめ:お買物リスト再掲
結びに変えて、当記事でご紹介したおすすめシャープペンシルをまとめます。
・クルトガアルファゲル:芯が自動で回ることで常に尖った状態をキープ、迷ったらまずはコレ
・ユニアルファゲルやわらかめ:グリップの柔らかさと弾力性の高さが両立
・ドクターグリップ:軸の太さと低重心が特徴のロングセラー
・グラフギア1000:細身の割に金属質で重量感があり、製図がしやすい
・ナノダイヤ:替芯に迷ったらコレ、高コスパ
繰り返しになりますが、自分の握り方や書き方に合ったシャープペンこそが最強のシャープペンです。筆記具の握り方というのは物理的に個人差が大きいものだからです。
よって、複数の方向性から特徴的なシャープペンを幅広くオススメしました。
シャープペンの使いやすさ・疲れにくさというのは、日頃の勉強から試験本番に至るまで筆記のパフォーマンスに直結します。
よって、これまで特に気にしてこなかった方は、自己投資として是非とも試行錯誤してみることをオススメします。そのためには500円前後を惜しむべきではないと強く思います。

レビューも一定程度は参考になりますが、実際に自分の手で握って書いた感触こそが第一です。
※なお、マークシート用シャープペンは用途が特殊なため、次の記事で解説します。
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