前回記事では、「ボールペンは」ジェットストリームが一押しと述べました。
勉強のボールペンはジェットストリームがオススメ!インクのかすれる替芯は予備で対策│勉強アイテム・文房具①
ですが、筆記用具全体で考えた場合は、ジェットストリームよりも更にオススメすべきものがあります。
それは、パイロット社製の万年筆コクーンです。
また、さらなる低価格をお求めの方や小中学生であれば万年筆カクノがオススメです。

万年筆ってなんだかハードルが高い印象ですね……。

『万年筆はハードルが高い』……そんなふうに考えていた時期が私にもありました。
私は元々字を書くのが上手くない部類(婉曲表現)ですが、実際のところ、万年筆はむしろ字を書くのが苦手な人にこそオススメです。
もちろん、字の得意な方であれば更にポテンシャルを引き上げられることでしょう。
そこで当記事では、万年筆の未経験者向けに「勉強において万年筆のメリットがいかに大きいか」という視点からプレゼンしたいと思います。
(なお、私自身も万年筆ガチ勢ではなく、あくまでも勉強道具の一環としての話です)
万年筆初心者向けのメリット、魅力について
手元にフィットする流線型のフォルム、重心の安定
まずコクーンの外形ですが、流線型のフォルムが実に手に馴染みます。
これは私の個人的な感想だけではなく、実際にグッドデザイン賞も受賞しています。
賞の概要では以下のように説明されていますが、まさにこの通りの使用感です。
万年筆を使い慣れない人でも扱いやすい硬めのステンレス製ペンを採用。ボディは流線型で手に馴染みやすく、筆記時の重心バランスにも優れている。
そして、この概要で触れている「筆記時の重心バランスにも優れている」という点も非常に重要です。
もとを正せば、筆記というのは手の運動です。よって、使う筆記用具によって手首への負担は大きく変わります。

あー、字を書いてたら腱鞘炎気味になるってのはあるわ。

手首への負担というのは本人のペンの握り方や筆圧などによっても変わってきますが、筆記具それ自体の重量感も重要です。
対して、万年筆コクーンは程よい重量感があって重心バランスが良いため、余計な負担やストレスが掛からずに済みます。
なお、重量感などは人によって良し悪しが分かれるところです。
そこでポイントになるのは、外したキャップをペンの後ろに付けるか否かです。これだけでも重心や重量感が大きく変わりますので、好みに合うように比較してみて下さい。
※ちなみに私はキャップを付けずに脇に置く派です。
字を書くことの楽しさ、勉強や仕事のモチベーションアップにも
メンタル的に重要なのが、「愛用の万年筆を使うと気分も乗る」という点です。
特に、市販のお値頃なボールペンを使い続けてきた方ほど万年筆に特別感を感じるかも知れません。かくいう私もその一人です。
勉強における万年筆とはいわば侍にとっての刀のようなものです。もちろん書き味も特別です。
そうすると、同じ筆記作業でもモチベーションが比較的上がります。そしてモチベーションが上がればパフォーマンスの向上にもつながります。
加えて、人によっては字を書く行為それ自体が楽しくなるという大きなメリットもあります。
楽しいとまでは行かずとも、勉強や書き仕事でのネガティブな心理が軽減されれば作業効率も高まります。
弱い筆圧でも字が書きやすい、手首の負担軽減やペンの握り方の改善も
そしてボールペンとの何よりも大きな違いは、筆圧をほとんど掛けなくてもインクが出るという点です。
人によっては、実はここが非常に大きなメリットにもなりえます。
「字を書くのが苦手」という生徒さんの筆記をよく見てみると、ペンを握る手に力が入りすぎているようなケースが多々あります。これは、筆記作業で腱鞘炎になりやすい(手首を痛めやすい)という方の多くにも言えることです。
また、筆圧が強すぎる状態で文字を書くのは単純に書きづらい、という根本的な問題もあります。(この点は他の人と自分自身とでは比較のしようがないため、自分自身の筆圧が弱まって初めて気付いた部分です。)
ゆえに、筆圧の強すぎる状態が癖になっていると、特に筆記量の多い試験においては日々の学習や試験本番でのパフォーマンスが物理的に低下する原因となってしまいます。
対して、一般的に万年筆の場合はむしろ筆圧を強く掛けると逆に書きづらくなり、ペン先が壊れる恐れすらあります。
よって、万年筆の弱い筆圧に慣れることそれ自体が筆圧の改善にも手首の負担軽減にも繋がります。

例えば私の出身である法学部(特に司法試験組)でも、大量の筆記をこなすために万年筆を推す声が多かったです。
※本気度合いが高ければ1万円超えの万年筆を検討した方が良いかも知れませんが、いきなり万単位から入門するよりもコクーン辺りで試してみることをオススメします。
なお、パイロットが公式動画で万年筆の書き方を解説していますので、ご参照下さい。
その際には、書き味滑らかなジェットストリームを試してみるのも有効な選択肢です。
勉強のボールペンはジェットストリームがオススメ!インクのかすれる替芯は予備で対策│勉強アイテム・文房具①
インクの残量さえあれば急にかすれる心配が少ない
筆圧が弱くても掛けるということは、それだけインクの出方が違うということです。
よって、ボールペンのように「インクが残っているのに急にかすれる」ような心配は少ないです。
これもまた大きなメリットです。
特に試験本番などでは、急なインクかすれによる時間のロスが減らせるのは非常に大きいです。時間的に厳しい試験であれば、それだけで点差がつきかねないからです。
※もちろん、インク残量は事前に必ず確認しておきましょう。
ただし注意点として、長い間使わないでいるとインクが乾燥して固まることがあります。
よって、本番直前になって急に使い始めるのは控えましょう。(そもそもルーティンの考え方とも逆行します。)
長期間使用していなかったため、インキの出が悪くなった/書けなくなった。 | よくあるご質問 | PILOT
ペン回しをやめたい人にもオススメ~ペン先の繊細さ
万年筆のデメリットとしては、ペン先に衝撃が加わるとボールペンよりも壊れやすいという繊細さがあります。
よって、安いボールペンの感覚で雑に扱うのは非推奨です。(もっとも、この部分は冒頭で述べた『特別感』につながる要素でもありますが)
こうした点は、ペン回しをやめたい人にとっては逆に矯正として役立ちます。
加えて万年筆の場合は、軽く回しただけでもペン先がインクでベチャベチャになってしまいます。いわば、痛い目にあうことで自然とペン回しをやめられるようになります。

かくいう私自身が、万年筆のおかげでペン回しを辞めることが出来ました。

……えっ?ボールペンはたまに回してますよね?

あっ、はい。……ですが、ほぼ毎回ペン回しをしていたレベルから、ごくたまにやるレベルまで矯正できました。
※もちろん万年筆では一切ペン回しをしません。
万年筆カクノのメリット、コクーンの違い
万年筆カクノは更に安い、1000円前後で高コスパ
私の一番のオススメ万年筆はコクーンですが、実は更に低価格で初心者向けの万年筆があります。
それは、カクノです。
https://www.pilot.co.jp/products/pen/fountain/fountain/kakuno/
まずは何と言っても安いというのが強みで、大抵は1000円前後で購入できます。
それでいて書き味も遜色ないですので、万年筆初心者的には破格の高コスパであると言えます。
よって、まずはカクノで気軽に試してみるということが出来ます。更に上の万年筆をお求めになる場合でも、サブとして使えます。
転がりにくい六角形、ペンの握り方が矯正できる三角グリップ
カクノとコクーンの一番の違いは、軸部分の六角形のフォルムにあります。
六角形であることにより、転がりにくい構造となっています。それゆえ机から落として壊してしまうような心配も少ないです。
また、グリップ部分は緩い三角形の形状になっており、最初から指3本の置きどころが決まっているような構造です。
加えて、ペン先に顔のマークが入っているのですが、これはグリップの三角形に合わせて握りつつ、ペン先の顔と目を合わせながら書くことで最適な握り方になるという仕組みになっています。
これはいわば、ペンの握り方の矯正が自然と組み込まれているということです。

これらは小中学生向けというコンセプトから設計されていますが、年齢に関わらず万年筆入門者向けです。
プラスチックの軽さが好みの分かれる部分、モチベーションの多寡
ただし、カクノはプラスチックの軽さが良くも悪くも好みの分かれる要素です。
カクノの軸はキャップを付けても非常に軽いです。これは力の弱い方や軽い筆記具を求めている方にはメリットですし、破格の低価格を実現する一因でもあります。
一方で、重心の安定という点では真鍮製のコクーンに分があります。コクーンの方が握った際に適度な重量感があります。
重みという点はデザイン面でも同じで、コクーンの場合は社会人がビジネスシーンで使っても違和感がないシャープさです。
繰り返しになりますが、これらは完全に好みの問題です。
とは言え、気分のノリや筆記のパフォーマンスに直結する部分でもありますので、よく比較して吟味することをオススメします。
※なお、ペン先は同じ規格とのことです。

私個人としては、やはり低価格帯の割に重厚感のあるコクーンが一押しです。
ペン先のサイズの違い:書き味の滑らかさ・カリカリ感
続いて、万年筆全般に共通する部分として、ペン先のサイズの違いがあります。
これは、前回記事のジェットストリームで解説したボールペン先のサイズと同じような考え方です。
勉強のボールペンはジェットストリームがオススメ!インクのかすれる替芯は予備で対策│勉強アイテム・文房具①
端的に言えば、極細ほどカリカリ感が強く、太字になるほど書き味が滑らかになります。
そしてもちろん線の太さも変わります。
これらも各々の好み次第ではありますが、勉強においては細字あたりから始めるのが良いのではないでしょうか。
書き味の滑らかさも大切ですが、勉強においては狭い解答欄にも字を収める必要があるからです。
あるいはジェットストリームの0.38mmのように筆記時のカリカリ感が好きであれば極細を選ぶのも一手です。

一番良いのは、文房具店で使用感を試すことです。
※なお、高価格帯になっていくにつれてペン先の多様性が拡がるようですが、そこまで行くと万年筆沼にハマってしまう可能性もあります。
試験で万年筆を使う場合の注意点
そもそも試験要項で万年筆が使えるか確認、青インクの可否
まずは大前提として、各試験の要項でそもそも万年筆が使えるかどうか確認しておきましょう。
特に、「えんぴつ・シャープペン(のみ)」となっていれば、万年筆は使えません。
基本的には、万年筆が使えるか否かはボールペンに準拠します。
大抵は『黒または青のボールペン』のような書き方がされていると思いますが、この場合は万年筆も使えるのが一般的です。

いつも思うけど、『青のボールペン』なんて誰が使うんだろう。

……実は、万年筆のインクはブルーブラックが王道です。

なん……だと……?
万年筆のインクは紙質も選ぶ、複写式の用紙にはボールペンを
試験要項を確認した上で、試験の解答用紙の紙質にも注意が必要です。
現代においては、顔料インクのように滲みにくいインクが簡単に手に入ります。
ですが、それでも試験によっては万年筆のインクがにじみやすいような紙質を使っているケースもありえます。(紙質が良くなければ裏面に映る場合も)
よって、判断に迷う場合は「○○(試験名) 万年筆」でググってみましょう。
よほどマイナーな試験でもなければ、万年筆が使えるかどうかの言及があるはずです。(それほど万年筆には根強い人気があるということでもあります)
あるいは、複写式のシートに何か記入する必要がある場合はボールペン持参が必須です。
複写式の場合は、とにかく筆圧を掛けないと2枚目以降に写りません。よって、万年筆の構造と致命的に相性が悪いです。
まとめ・お買物リスト
以上より、勉強においても普段遣いにおいても、是非とも万年筆の使用をオススメします。
普段の勉強や仕事においてはもちろん、記述式の試験においても、筆記のしやすさはパフォーマンスに直結します。(物理的に)
加えて、意識面でも安価なボールペンでは得られないものがあります。それは普段の勉強のモチベーションにも少なからず影響する部分です。

その中でも入門に適しているのがコクーンとカクノです。
以下、ザックリとラインナップをまとめてみます。
万年筆コクーン:2500円前後で高い質感
まずは、個人的に一押しの万年筆コクーンです。
コクーンのペン先のサイズはデフォルトで細字か中字の2種類になりますので、細かい字を書くなら細字、滑らかさ重視であれば中字を選ぶのが良いかと思われます。
万年筆カクノ:1000円前後で圧倒的な高コスパ
カクノのペン先は極細・細字・中字の3種類から選べます。
筆記時のカリカリ感がお好きな方は極細がオススメです。
インク補充がお手軽なカートリッジタイプ
万年筆においては、ブルーブラックの方が定番のインクです。
もちろん汎用性の高い黒インクもあります。
なお、カートリッジタイプのインク交換は、ただ古い筒を引っこ抜いて新しいものを突き刺すだけで済むのでお手軽です。
カクノ・コクーンの更に上を目指すなら……カスタム742など
ちなみに、更に上のグレードとしてはカスタム742などが有名ですが、1万5000円と値段も跳ね上がります。
結びに変えて:店舗で試し書きするのがベスト
繰り返しになりますが、筆記用具は個々人によって好みが大きく分かれます。気分やクセの部分もありますし、手の大きさなども関わってきます。
よって、出費が気になるならなば文具店で試し書きしてみるのが一番です。
ただ、私のように「パフォーマンス向上が期待できるならば1000円~2000円くらい何とも無い」という方であれば、気が変わる前に買ってしまうというのも一つです。
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