対比関係(対比構造)、二項対立、二元論とは、ものごとをA対Bに二分して比較することでロジックをわかりやすく整理する考え方です。『赤組vs白組』の構図です。
これらは長文読解問題では非常に多用され、逆に小論文・作文の記述でも非常に使いやすいロジックです。
現代文でも英語でも、論説文でも物語文でも多用されます。まさに初心者から上級者まで幅広く役に立つライティングスキルの一つとも言えます。
むしろ各教科に限らず、対比関係が使われてない分野はこの世に存在しないと言い切っても良いほどの重要テクニックです。

二元論的な発想、物事を比較する観点は読解に役立つだけでなく思考ツールとしても利用価値が高いですので是非とも理解しましょう。
……ただし思考の罠にもなりえます。
対比構造・二項対立とは:意味と具体例

二元論の構造自体はシンプルの極みですので、さっそく具体例で見ていきましょう。
対比関係・二項対立・二元論のカンタンな解説
まず、当記事では「対比関係(対比構造)」「二項対立」「二元論」と並べて述べていますが、とりあえずはどれも同じような枠組みと捉えてもらって構いません。ただし、「二元論」はより原理的・根源的な概念として使われることが多いです。
(より詳しく言えば、二元論的な発想で物事を対立する二項に分けることで、結果的に二つを比較できるような対比構造にするということです。)
具体例は、枚挙にいとまがありません。
「善と悪」、「光と闇」からはじまり、「熱いと寒い」、「右と左」、「上と下」、「賛成派と反対派」、「赤組と白組」……。
突き詰めはじめると森羅万象にまで広がっていきます。
こうして物事を二分化することによって物事を単純化する機能を果たします。
人間界・自然界のカオスな事象を単純化することにより、人間にとって分析しやすく理解しやすい構造で物事を捉えることができます。
だからこそ文章を分かりやすく伝えるのにうってつけの技法ということです。だからこそ必然的に国語でも英語でも多用されます。
国語や英語に限らずあらゆる文章において言えることですが、物事を二分化して二項対立的に説明することで、読み手にわかりやすい対比構造にできるのです。

正義と悪とかはわかるけど、文章のなかで対比ってのがいまいちよくわからないなあ。

これまでの私の記事の中でも既出ですよ。それも何回も。

えーっと……あっ!初回の記事!
「国語はセンスではなくロジック」って構造!

正解です!文化審議会の答申、つまり官僚や有識者も同じように二項対立的な捉え方を使っていたということです。
他にも、「インプットとアウトプット」、「ミクロとマクロ」、「主観と客観」、「原因と結果」なども典型的な二元論です。そして、これらの対比構造をもっとも顕著に活かすテクニックこそが再三述べてきた「not A but B」の構文なのです。
トランプ大統領による『分断』は典型的な二項対立的手法
近年で最も目立つ具体例は、アメリカのトランプ大統領による手法です。

よく『アメリカ社会の分断』というフレーズを聞くかと思います。

なんか全方位に口撃しまくってるよね。敵と味方ってことか。

アメリカの場合はまず共和党と民主党が2大政党ですよね。
これが『赤組と白組』ということなのですね。

その他にも移民政策、地球温暖化対策、貿易政策、宗教対立、オバマケア、エスタブリッシュメントと一般市民、などです。
これらは意図的に二項対立を活用した実例です。
『赤組vs白組』という二項対立は、実にシンプルで理解しやすい構造です。
例えば貿易政策であれば、自国第一主義、つまり『保護主義vs自由貿易主義』といった具合です。
アメリカファーストの考え方からは、貿易政策上の対比関係だけでなく、『自国vs諸外国』という対立軸も生み出されます。
このような対比関係・二項対立をロジック的な観点で見ると、論点を意図的に絞ることができるという大きな利点があります。
貿易政策で言えば、「いや、自由貿易をベースにしつつも各産業の実体に応じて各品目ごとに関税も個別具体的に検討して……」というような対比関係にうまく当てはまらない微妙な部分を度外視することができます。(そこが利点にも問題点にもなりえます。)
そうすることによって、有権者に対してトランプ大統領の主張や公約がハッキリと明確に伝わることになります。
移民政策は強硬派、地球温暖化は懐疑派、貿易は保護主義、宗教(の票田)は親イスラエル・キリスト教福音派、オバマケア反対、反エスタブリッシュメント……。
そしてその明確さが求心力に結びついていきます。
(これらの『トランプ流』は政治理念というよりもむしろ経営方針のように映ります。)
当シリーズをここまで読んでくださった方にはピンと来るかも知れませんが、これは国語・英語的には「各論点に対する筆者の主張を読者に対して明確に伝える」という目的と同じ話です。
だからこそシンプルな対比関係は頻繁に使われるのです。

赤組と白組が応援合戦で俺強えアピールしあってるような感じ?

応援だけじゃなく騎馬戦でも徒競走でも玉入れでも全プログラムで競ってるようなものね。
※どの競技も『赤組vs白組』という対立構造が明確であり、桃組や緑組などが混ざってこないために白黒もハッキリとつけやすい。

対立軸をさまざまな切り口から分析し、メリット・デメリットを対比関係から比較した上で、最終的に『だから赤組の方が白組より強い』と持っていく手法です。
特に対立構造・優劣を伴わない対比表現もある
なお、特に対立構造を伴わない対比表現もあります。
例えば、以下の二者が対比的に表現されていたとしましょう。
- Aさんは活発で社交的で犬好きなアスリートだ。
- Bさんは冷静で内向的で猫好きなアーティストだ。
この場合は、「活発←→冷静」「社交的←→内向的」「犬好き←→猫好き」「アスリート←→アーティスト」と対比させています。

火炎属性と氷結属性みたいなものだな。
ですが、このケースでは、AさんとBさんに優劣関係をつけていません。あくまでもフラットな関係です。
ここでの対比表現は、それぞれの要素を比較することで物事を分かりやすくするという機能を果たしています。これは「AとBのいずれも上手く説明したい」ようなときに有効な表現になります。
ちなみに、AとBに「対立構造・優劣関係」を持ち込んで片方に肩入れすることで、当記事が解説するような「筆者の主張を強調する手法」ともなります。
国語・英語・小論文・作文で有用な対比関係・二項対立

それでは、国語・英語の長文問題での実用例を考えてみましょう。
一般論と筆者の主張を対比関係にする表現技法
対比関係・二項対立というのは前述の通り『A対B』という構図です。
この構図が国語や英語の論説文で使われる場合、最も重要な例が『一般論・第三者vs筆者』の構図です。
例えば、「世間一般ではこう言われている」「このような意見がある」というような前フリがよく見受けられることでしょう。
あるいは、最初に筆者の考えを述べて、筆者に対する反対説として後から一般論や第三者を出してくるケースもあります。
いずれにせよ、こうした他者の考えに対しては、「しかし、この考えにはこれこれこういった問題点がある」といった問題点の指摘、あるいはストレートな反論を持ってくるのが典型です。
そして、そこから問題点の解決策として筆者の主張を提示するのがオーソドックスな展開です。
結論としては、「~すべきである」「~が求められる」といった形を使って筆者の意見を重ねて結びとなるのがよくあるパターンです。
この流れこそが二項対立そのものなのです。
多種多様な意見から『AとB』の対比関係にあえて絞り、A=他者の見解の欠点を指摘して、B=筆者の主張の方が正しいと誘導するロジックです。
言い換えると、ある論点について「反対説の弱みvs自説の強み」の二項対立に落とし込んで筆者の主張をより有利に通すロジックです。
これはまさしくワンパターンの構図です。
だからこそ二項対立・対比関係のロジックを最初から知っていれば読み手としても情報の整理がつきやすいのです。
そして筆者は二項対立のロジックの強力さが分かっているからこそ文章で多用するのです。

たしかに、何回も何回も『A対B』って聞いてたらさすがに分かってきたかな。多分。

これを何となくの感覚ではなく明白なロジック、知識として知ることが第一歩です。その上で、日常で見聞きする文章やニュースの中で実際に自分で対比関係を見抜くことではじめて使える技術となるのです。

『言うは易し、行うは難し』ですね。

そもそも、対比関係も二項対立も、ほとんどの人がどこかですでに学んでいるはずです。しかしながら、学習した知識は意識的にアウトプットができてはじめて成果と呼べるのです。
対比関係・二項対立はパラグラフリーディングでも重要なコツ
パラグラフリーディングについては前々回の記事で詳しく見ていきました。
カンタンに言えば、パラグラフリーディングというのは文章を段落構成・アウトラインのようなマクロスケールから理解する手法です。
その際に、対比関係・二項対立の表現技法がわかっていればマクロスケールの構造も非常に理解しやすくなります。
例えば、論説文で
「一般には、負債が少なければ少ないほど企業の経営状態は良いと考えられている。」
というパラグラフがあったとします。

負債って要するに借金でしょ?
そりゃ借金なんてあったらいかんでしょ。

そうやって自分の考えで判断しないようにって習わなかった?

過去記事の応用になりますが、ここで注目すべきは、「一般には、~と考えられている」という言い回しです。これは筆者の考えですか?

いや、まだ一般ピープルの話なんだ!

本当に一般論のケースか、あるいは筆者の反対説を一般論に見立てているかのどちらかです。いずれにせよ、私であればこの一文を見た時点で「おっ、前フリの一般論Aのパートかな」と推測します。

そうなったらまた筆者の意見=BでAをロンパするのか!
じゃあBを探せばいいんだ!

決め打ちして早とちりしないよう注意しましょう。ただ、前置きの一般論をそのまま筆者の主張に援用するケースはあまりないはずです。
オーソドックスな例ならば、数段落ほどは一般論について語り、そこから後のパラグラフで逆接が来ることでしょう。
「しかし、無借金経営にもいくつかの問題点がある。」と逆接かそれに近い形で提起しておいてから筆者の反論のターンが来るのが典型例です。
そこから一般論Aの問題点を指摘し、筆者の意見Bのメリットを一般論Aのデメリットと対比させて、筆者の意見Bの正しさを強調して終わるといった具合です。
この典型的な対比構造は、仮に文章の内容すら分からなくても文法知識やパターンさえ知っていればマクロな文章構造がつかみやすいです。

二項対立・対比関係はわかりやすいので、最初にパラグラフリーディングの感覚をつかむのにはもってこいの考え方です。
ちなみに、英語が得意な人であれば、むしろ英語の長文の方がカンタンにマクロな文章構造を認識しやすいかもしれません。
対比関係・二項対立を小論文・作文のアウトラインで解説

ここまでの話をもっと具体的に説明してほしいなあ。

安心してください、アウトラインの具体例を準備してますよ。
マクロスケールで対比関係・二項対立の構図にするアウトライン具体例
1 問題提起
(1) 前フリ:「一般には、負債は少なければ少ないほど良いこととされている。」
(2) 問題提起:「しかし、無借金経営には大きなデメリットも存在する。」
2 本論A:一般論=無借金経営の問題点(筆者の主張のための布石)
(1) 運転資金:自己資本の大きさに制約される
(2) 成長期:設備投資に資金を割けない
3 本論B:筆者の意見=借金容認(問題点の解決)
(1) 運転資金:流動性に余裕が出来て売上の増減にも対応できる
(2) 成長期:設備投資で事業拡大の機会を逃さない
4 結論:「場合によっては借り入れをするメリットが大きい」(筆者の主張)

本論Aと本論Bで二項対立を使っているのが一目瞭然です。
そして、「(1)運転資金」「(2)成長期」という二つの論点から対比しています。

「運転資金」……?「流動性」……?

……と、言葉の意味がところどころ分からなくてもパラグラフの構造はだいたい見抜けます。
ミクロスケールで対比構造・二項対立の構図にするアウトライン具体例
1 問題提起
(1) 前フリ:「一般には、負債は少なければ少ないほど良いこととされている。」
(2) 問題提起:「しかし、無借金経営には大きな問題点が二点存在する。」
2 問題点1:運転資金
(A) 無借金:自己資本により制約される(デメリット)
(B) 借金容認:流動性に余裕が出来て売上の増減にも対応できる(解決策)
3 問題点2:成長期
(A) 無借金:設備投資に資金を割けず拡大が限定される(デメリット)
(B) 借金容認:設備投資で事業拡大の機会を逃さない(解決策)
4 結論:「場合によっては借り入れをするメリットが大きい」(筆者の主張)

こちらのケースでは、問題点ごとに論点を切り出しています。そして各論点の中でそれぞれ『A対B』の対比構造から論じています。

先ほどのケースとの使い分けはどう違うんですか?

先ほどのアウトラインでは論者や主義を中心として捉えているのに対して、こちらのケースは問題点ベースの発想から分類しています。

どっちのケースが良いのかな?

どちらが良いかというよりも、書き手が頭の中のロジックをどのように組み立てるかの問題です。
筆者への反対意見をも反論に利用する

でも、やっぱり借金は危ないんじゃないかな。

借金に手が回らなくて破産したり倒産したりって話もよく聞くよね。

その場合は、結論部の前にこのような段落を挟みます。
3.5 「筆者への反対説」に対する筆者の反論
(1) 反対意見:「借金経営は財務状態の悪化から破綻を招く、だから危ない」
(2) 反論
(Ⅰ) 反証:「むしろ無借金経営が黒字倒産を招くリスクもある」
(Ⅱ) 反論の結論:「貸借対照表だけでなくキャッシュフローも分析する必要性」

こうして、反対説をも自説に利用するのです。これは、予め反対意見を想定しておいてロジックの穴を塞いでおく手法にもなります。

自分の意見を主張するためには反対の視点も必要だということですね!

内容はぶっちゃけよく分からないけど、相手のパワーも吸収して自分の力にする能力者って一番厄介な手合いだよなあ。
二項対立の文章構造をテンプレート化して中身だけ挿げ替える
なお、上記のアウトラインについては、実は借金云々といった中身はどうでもいい部分です。(商学・経営系志望でなければ)
大事なのは、文章のアウトラインをテンプレート化(雛形)するという発想です。
例えば、借金云々の中身を抜いて、文章構造の「型」だけを抽出してみます。
1 問題提起
(1) 前フリの一般論
(2) 問題提起(一般論に対する疑問)
2 本論A:一般論の問題点(筆者の主張のための布石)
3 本論B:筆者の意見(一般論の問題点の解決)
4 結論:筆者の主張
これで定番の二項対立のテンプレートが完成しました。

あとは、これに自分の知識とロジックを肉付けしていくだけで大抵の作文は埋まります。あとは字数と問題設定しだいです。
二元論的思考の弊害、あくまで思考ツールとして活用すべき

もう全部二項対立でいいんじゃないかな。

ところが、二項対立・二元論的思考には大きなワナがあります。
『アメリカ資本主義vsソビエト社会主義』という二項対立の弊害と終焉
大きなワナ、それは、二項対立のどちらか一方が正しいとは限らないということです。
二項対立、二元論は極限まで単純化するゆえに、その二極以外の捉え方が見えにくくなります。
二元論の究極は『善と悪』『正義と悪』だと思いますが、現実において物事は『赤組と白組』のようにそうハッキリと二分できるとは限りません。
ましてや、上記のアウトラインの例のように人為的に設定した二項対立であればなおさらです。
例えば、東西冷戦では『アメリカ資本主義vsソビエト社会主義』という二極体制で相争っていました。
これはまさしく典型的な『赤組vs白組』の対比関係です。
では、この勝負、結果はどちらが正しかったでしょうか?
ソ連は崩壊しました。
一方で、資本主義経済は、自由市場の競争原理に委ねた結果としてアジア通貨危機・リーマンショックなどの数々の経済危機を引き起こしました。
ちなみに戦後の日本社会は、資本主義陣営と言いつつも、年功序列・終身雇用制度を軸とした社会主義的な側面が強く見られました。
結局、どちらが正義でどちらが間違いという話ではなかったのです。
社会主義・統制経済の行き過ぎは競争力の低下を招きます。
資本主義・自由経済の行き過ぎは経済格差を招きます。
いや、自由経済でも独占や談合などの『市場の失敗』により競争力は低下しますし、社会主義でも幹部級と一般市民とでは格差が生じます。
物事は単純でもあり複雑でもあるのです。
二項対立の罠:「反トランプ派」という発想こそ分断を強める皮肉
あるいは、トランプ大統領に絡めて言えば、「反トランプ派」という発想は皮肉にも二項対立を強化することに繋がります。
記事前半部において、トランプ大統領の手法は「紅組対白組」という二項対立的な発想を使っていると述べました。
トランプ支持層の視点からすると、これは「イエスorノー」の二元論です。
そうした中で「反トランプ」を強調するということは、まさしくトランプ大統領が作った「イエスvsノー」の土俵の上で対立構図に加担することと同義です。

ああ、『アンチと信者の論争』そのものじゃないか。
なお、この件については単純に弊害とは言い難い側面もあります。
なぜなら、トランプ大統領が二項対立の中で自身の主張を強調しているのと同じように、反トランプ派も二項対立を利用して自身の主張を強調できるからです。
ただ、分断に反対しつつも対立構図を強化することになる、というだけです。「分かった上で」利用するならばそれも戦略の一つです。
二元論的発想からフラットな中立視点へ
二元論・二項対立・対比関係という枠組み自体はツールとして上手く使えば理解の助けになりますから、二元論的発想自体が悪いという話ではありません。
あくまでも物事をわかりやすく捉えるためのモデルとして意識的にこれらを扱うべきだと私は思います。

やっぱりバランスが大切ですね。

両極に偏らずバランスを取る考えを「中庸」と呼びます。孔子やアリストテレスの時代から存在する考え方で、歴史的な教訓とも言えます。

真・女神転生シリーズとかLAW(秩序)サイドもCHAOS(混沌)サイドもどっちもロクでもない結末になるからなあ。

読解問題でも論述でもNEUTRAL(中立)の視点をオススメします。
論説文で出てくる主張に対しても物語文の登場人物に対しても、偏見を持たず常にフラットな視点で冷静に読解することです。

フラットと言われても、物語文とかはつい感情移入してしまいます。

その感受性自体は大切にしてほしいですが、主観的な感情から一旦離れてロジック重視でクールに読む訓練をした方が良いと思います。センスもロジックも両方活かす道です。

英語を勉強する時に日本語脳から切り替わる感覚と同じ話でしょうか?

そうですね……国語が伸び悩んでる生徒さんはいっそ国語を外国語と思って学習する意識で取り組むのも一つです。
情緒の国の住人が論理の国の言葉を学ぶような要領です。

オイラは動物的勘で生きていこうかな。

実際は動物的勘こそが希少な能力だと思います。特に経営・ビジネス分野においてはそうです。それに比べれば論理的思考力は効果的に訓練すれば着実に身につきます。
「あなたの考えを述べなさい」も中立的な視点から対比関係を使う
「あなたの考えを述べなさい」という問題については過去記事で別の観点から解説しました。
このような問題が小論文などで出題された場合でも、必ずしも賛成か反対かの二元論から考える必要はありません。
むしろ中立寄りの立場から考えうる主張のメリット・デメリットを整理することから始めます。そして、自分にとって「分の良い方の主張」を判断して利用します。
ちなみに小論文や論述試験が非常に得意だった私の場合は、反対説や少数説のメリットも認めつつもデメリットをやんわり指摘して、最終的に問題文や多数説の方向にフォローするような「守りの構成」がやりやすかったです。
なぜならば、強い否定ほどより慎重な論証が必要になるからです。仮に論証にもなっていないような批判を展開したとすれば、採点官の心証は極めて悪くなります。
「守りの構成」という発想は、文章構成をミクロからもマクロからもロジカルに固めつつ減点リスクを減らすという、完全なる打算の点数稼ぎです。

なお、これは一例ですので、あくまでも各々のやりやすいパターンで構成してください。
※ただし、問題文の本文自体が明らかに疑義を呼ぶような内容であれば、やんわり否定側に回る方向性で考えます。いずれにしましても、旗色の良い方をフォローしてその他の考えを対比させることで、対比構造をフルに活用することが出来ます。
まとめ
以上のような二項対立・対比関係の基本的な枠組みがつかめていれば、読解がスムーズになるのはもちろんですし、論述でも非常に使いやすいです。
記述問題で二項対立・対比関係を使うと、文章構成をオーソドックスな型に当てはめやすいという大きなメリットがあります。
オーソドックスな対比構造というのは、何百・何千もの答案を読まなければならない採点官からしても非常に読みやすい構造です。
その結果として論理力・文章構成力が評価されやすく、減点の穴ができにくい構造になります。

大事なことなので何度でも述べますが、今回の内容も本当に理解するためには意識して学習することが必要です。
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