近年の日本社会では、終身雇用・年功序列制度が急速に衰退しています。
それに伴い、日本政府や大企業の主導のもとで会社員の副業・兼業の普及が推進されてきています。
そこで最も注目を浴びている副業こそが、ネットビジネスです。
例えば、このようなキャッチフレーズはネット上でもネット外でも見掛けることでしょう。
ですが、会社員一筋で働いてきた方にとって特に注意すべきポイントがあります。
それは、「ネットビジネスは自営業である」ということです。
当記事では、数あるネットビジネスの中でも「給与所得者の立場と比較したブログサイト運営・アフィリエイトのメリット・デメリット」について考えていきます。
これはそのまま個人事業主と一般的な会社員の違いの話でもあり、Youtuberなどの他の業態においても共通することが多々あります。

私はあくまでもネットビジネス推進派ですが、逆にそれゆえに現実的な問題点も知っておいた方が良いという想いがあります。
アフィリエイト報酬・広告による収益化とは
まずはじめに、ブログ収益化の基本であるアフィリエイト報酬についてカンタンに解説します。
アフィリエイト報酬とは、一言で言ってしまえば「広告を通じた紹介料」です。
……と説明してもビジネス知識が無いとピンと来ないと思います。
そこで、カンタンに図示してみました。
- 広告主とアフィリエイトの合意をする。(審査があったり無かったり)
- サイト訪問者に広告を見せる。(一般的なCM・広告宣伝と同じ)
- サイト訪問者が広告のリンク先に飛んで商品を買う。→広告主にお金が入る。
- 広告主がサイト運営者に売上金の一部を報酬として支払う。
※グーグルアドセンスなどのクリック型報酬であれば、3の「商品を買う」という条件が外れてクリックだけで報酬発生します。(ただし購入の有無で報酬額に違いは出る)
なお、通常は①と④の箇所にASPと呼ばれる仲介サイトが入ります。
例えば、もしもアフィリエイトという鉄板のASPであれば、図で言う「広告主」がASPの中にたくさん集まっています。学習塾、不動産、美容、クレカ……とジャンルも様々です。
そして、新規登録も広告掲載もすべて無料で出来るという点が「誰でもカンタンに始められるビジネス」たる所以です。広告主によっては自サイトの審査もされますが、それさえ通ってしまえばブロガー・サイト運営者側がやるべきことはただ広告を貼るだけです。
ちなみにAmazon・楽天の商品掲載も両方もしも経由で行なえますので、「とりあえず何も考えずに登録しておいて良い」というようなASPです。
一人アフィリエイトサイト運営のメリット

まずは、会社員との比較から見たアフィリエイトのメリットについて見ていきましょう。
スケジュールや他人の都合に煩わされない自由度
一般的な会社員からすると、自分本位のスケジュールで自由に運営できるという点は非常に大きな相違点です。
まず会社員として働く際に避けられない要素は、勤務時間の制約です。
これは雇用契約の中で定められているものであり、フレックスタイム制であっても労働時間それ自体はトータルでこなす必要があります。
そして、組織の一員として働いている以上は、必ず他者とスケジュール調整をする必要性があります。
社内においては、同僚に質問一つするにしても相手の都合というものがあります。共同作業やミーティングともなれば、なおさら自分勝手に時間を変えるわけにはいきません。
社内であればまだ融通が利くかも知れませんが、これが社外の相手とのスケジュールであれば、勝手に破ると自分一人ではなく自社全体の信用に関わる問題となってきます。
対してアフィリエイトサイト運営では、時間的制約は何もありません。
気が乗らない時や体調の良くない時は、いつでも勝手に休めます。夜型人間であれば、昼に起きて夜に記事を書くような生活も勝手にできます。
また、自分のサイト(と広告)を配信するためのレンタルサーバーさえ借りてしまえば、何もしなくても24時間フルにサイトが配信されます。よほど常時コメントをやり取りするようなサイトでなければ、毎日管理する必要もありません。
こうした点は、何かと時間的拘束のある会社員とは決定的に違う部分です。
場所的な制約がない、自宅で在宅ワークでもカフェでも
そして、場所的な制約もありません。
一般的な会社であれば、職場に出社する必要があります。外回りの営業であっても、相手方の居る場所に伺う必要があります。
対して、アフィリエイトであれば、ネット環境さえあれば実質的にどこでも仕事ができます。
在宅ワーク・SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)はむしろ基本ですし、Wi-Fiにつなげばオサレなカフェテラスや自然公園でも記事作成はできます。人によっては通勤電車の中でも可能です。
対外的なやり取りに関しては、よほど重要な商談でも無ければネット上でコミュニケーションが完結します。
こうした仕事の形態は、日本の企業文化から考えると、津々浦々の会社員にまで普及するのはまだまだ先の話であることでしょう。あるいは、大部分が変わらないかも知れません。
その点、アフィリエイトはまさに新しい仕事の形態の先取りであると言えます。
ランニングコストも初期費用も圧倒的に安い
多くの自営業とアフィリエイトを比較した場合、コストが圧倒的に安いという点は強力なメリットです。
まずは起業する際の初期投資に違いがあります。
店を構えるのであればテナント料や改修費用が掛かりますし、業態に応じて設備投資などが必要になります。そして大抵は100万円程度では済みません。
それに引き換え、アフィリエイトの場合はネット環境とPC・タブレットさえあれば起業できます。ネット環境は既にあるものを転用できますので、あとは端末次第です。
そして、起業した後のランニングコストも全く違います。
設備投資や店舗・オフィスに対しては、固定費用や維持費が掛かり続けます。人を雇うのであれば、どれほど売れ行きが不調であろうとも社員の給料が掛かります。
それに引き換え、アフィリエイトで避けられないランニングコストはレンタルサーバー代程度です。
そのレンタルサーバー代は、よほど最初からバズらせる天才でもなければ、月額1000円弱でも初心者には十分すぎる性能になります。
言うなれば、自分がお金を掛けようとしなければそれ以上のコストは発生しない、ということです。自分一人で進めれば人件費は掛かりませんし、在宅であれば電気代が多少増える程度です。
見切り発車で始めても金銭的なマイナスが限定的である、という点は絶大なメリットです。(ただし商品仕入れや製造販売に手を伸ばすと在庫を抱えることになる)
さらに言えば、廃業してもほぼノーダメージです。
通常のビジネスでは休業状態になってからも不可避的に発生するコストが山ほどありますし、廃業するにも負債は残ります。そうした点で、アフィリエイトはコスト面で極めて有利です。

ノーダメージどころか、一度や二度挫折しても経験値やノウハウは残りますから、再チャレンジも容易です。
収入は青天井、年商数千万円も現実にある
また、自分次第では収入額が青天井であるという点もまた大きな魅力でしょう。
私が実際に知っているケースでは、20代~30代で年商数千万円を実現している方も居ます。
このような収入額は、よほど特殊な職業でもなければ会社員としては非現実的な金額です。それでも自分次第では実現可能です。
ただし、こうした夢物語も、あくまでも以下に述べるデメリットを乗り越えて継続することではじめて達成するものです。
一人アフィリエイトサイト運営のデメリット

一方で、一般的な会社員とは大きく異なるビジネス的なデメリットもあります。
収益計画もビジネスモデルも全て自分次第
まずは、ビジネスモデル無しに何となくで儲かることはありません。
利益を生み出している人というのは、利益を生み出すだけの違いを作っているということです。
利益を生み出す要素自体は色々とあります。記事のクオリティ、インフルエンサーとのコネクション、個人的な人気、圧倒的な記事量、トレンドを読む能力……。
それらは全て自分の力で違いを生み出しているということです。個人的な人気で利益を上げているケースでも、それは人気商売としての営業力と才能の賜物です。
こうした側面は、業種・職位によっては非常に見えづらい部分です。
なぜなら、会社の場合は組織全体で収益計画・ビジネスモデルを構築しているからです。一般的な会社員の仕事というのはビジネスモデル全体から見ると歯車の一つに過ぎません。
ここで収益化について、アドセンスなどのクリック報酬型広告で具体例を示すと以下のようになります。
※PV(ページビュー):ページが閲覧された回数のこと。
この式が示すのは、ページビュー・クリック率・クリック単価と言った具体的な数値を自分自身で上げないと収益も上がらない、という事実です。
これらは企業における販売計画そのものです。
「8時間働いたから給与がもらえる」というのは雇われ人の発想に過ぎないということです。
個人事業主においては、需要に結びつかなければ何百時間働こうとも収益は生み出せません。
需要発掘・マーケティングも全て自分次第、それゆえのSEO対策
加えて、マーケティング戦略も全て自分次第です。
先ほどサラリと「月間10万PV」と述べましたが、では具体的にどうすれば月間10万回閲覧してもらえるのでしょうか。
例えば、ただの食事風景を公開して閲覧数が増えるというのは、よほどの有名人くらいのものでしょう。
食事関係で閲覧者が集まるとすれば、隠れた名店の詳細なレビューであるとか、クオリティの高いレシピの解説であるとか言ったように、すべては需要ありきです。
サイト運営で言う需要というのはつまり、「多くの人が見たいと思う情報か」ということです。逆に言えば、『何の変哲もない一般人の普通の食事風景』を見たい人などほとんど居ない、ということです。
そこで出てくるのが、SEO対策となるわけです。
SEO対策というのは、カンタンに言えばネット検索からより多くの閲覧者が集まるようにするような工夫を言います。
オーソドックスな方法としては、まずどのようなワードがよく検索されているのか、どのようなニーズがあるのか、と言った点を調べます。
その上で、いかに需要のある記事を供給できるかがカギとなってきます。
ブログの場合、仮に1記事あたり月間1000PVが見込めるのであれば、100記事でようやく月間10万PV達成となります。もちろん、「1記事あたり月間1000PV」に到達できるか否かも自分次第です。
これはまさに一般企業のマーケティングそのものです。
加えて、一定以上の規模の会社であれば、大人数で自社ブランドを高めていくことが出来ます。広告宣伝というものはまさにそれです。
自社ブランドの旗印のもとで、そこに何百人・何千人と自社製品に関与することができます。
対して、サイト全体の評価、いわば自サイトのブランドというのもSEO対策に関わってくる要素ですが、これらも一人でサイト運営するのであれば全て自分一人で高めていく必要があるということです。
これは会社員のように「会社組織全体の信用」を利用できない、ということでもあります。(例えばTOYOTA社員であれば誰でも「ああ、あのTOYOTAさんですか」となる)
仕事のペースも自分次第、自制心がないとサボり放題
アフィリエイトの最大のメリットは自由度ですが、逆に自由であるが故のデメリットもあります。
サイト運営について、趣味を兼ねてのんびりマイペースで進めていくつもりであるならば特に問題はありません。
ですが、一定以上のペースで副業として進めるつもりであれば自制心が必要です。
会社と違って、どれだけ仕事をサボったところで監視の目も無ければ注意する人もいません。自分でサイト運営するのであれば納期もありません。
また、全体の進捗をマネジメントする管理職も上司もいません。
どれだけサボろうとも自分以外は誰も困りませんし、結果的に物事が進まなくとも誰も助けてはくれません。
つまり、自分の意志で動かないと何も進まないということです。これはいわば、自由度が高いことの裏返しです。
「カンタンに荒稼ぎできるネットビジネス」に期待しない
ビジネス初心者がネットビジネスをはじめる際に気をつけるべきことがあります。
それは、「本当にカンタンに荒稼ぎできる商売はまず無いと思った方が良い」という現実です。
例えば、「誰でもカンタンに月○○万円稼げます!」というキャッチフレーズはよく見かけるかも知れません。
ですが、こうした売り文句には注意が必要です。
本当にカンタンな方法であれば、それこそネット上であっという間に拡散してしまいます。
そうなると、日本全国にたくさんのライバルが出てくるわけです。すると、経済のパイの奪い合いが起きます。
結果として、その方法は市場原理を通じて「楽だけど低収入な仕事」になります。これは動かしがたいロジックです。
本当に誰もが楽に稼げるならば、日本社会はとっくにデフレ脱却しているはずです。ですが、現実としてそうはなっていません。
結局のところ、収益を上げるためにはそれ相応のコストやリスクを負う必要があるということです。本当に質の高い情報商材ほど、収益に見合うだけの手間が求められることでしょう。
最後にこのようなトピックに触れた理由は、詐欺に騙されないためです。
投資詐欺と同じで、ビジネス初心者の参入が多い分野には「悪い大人」も集まりやすいです。そのため、「美味い話には安易に飛びつかない」という基本姿勢が大切です。
巨額投資詐欺事件の被害は複利効果の知識で防ぐ!高利回りとリスクの分析|時事問題・社会コラム⑥

「詐欺案件に引っ掛からない」というのもまた自分次第です。
まとめ
アフィリエイト・ネットビジネスのメリットは何と言っても自由さにあります。
スケジュールも自由、仕事場所も自由、そして初期投資もほとんど不要です。
それに引き換え、収益を上げられるか否かも全て自分次第です。
全て自由ということは、ビジネスモデルもマーケティングも仕事の進め方も全て自分で経営判断しなければならないということです。
会社員と違って、ネットビジネスは「数百時間働いても収益ゼロ」という可能性もあれば「年商数千万円」という可能性もあります。
そしてそれを決めるのは自分自身です。

アフィリエイト・ネットビジネスは良くも悪くも100%自分次第ということです。そこが雇われの身には無い面白みでもあります。
※まずは勉強と同じく自分で調べて考えることが大切です。
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