勉強のルーティンとは~リラックスと集中を両立し受験本番も普段通り│勉強法・教育法㉘

受験勉強のルーティン化とは効率的な勉強法のコツ

 

よっしゃ!オイラもルーティンやるぞ!五郎丸ポーズ!

……ただ決めポーズしてるだけにしか見えないけど、ルーティンってどんな意味があるんだろう?

……さあ。

 

ルーティンは、特に一流アスリートの成功メソッドとして知られているかも知れません。

ですが、学習面においてもルーティンは非常に重要な効果を発揮します

 

一方でよくあるのが、「単にポーズを取ることがルーティン」と言う誤解です。

あるいは、「ルーティンワーク」と概念が混ざってしまって結局よく分からないという声も聞きます。

 

そこで、このルーティンについて、2つの観点に分けた上で噛み砕いて考えていきたいと思います。

 

ルーティンは人生の全局面・あらゆる分野にわたってパフォーマンス向上につながるテクニックです

 

スポンサーリンク

ルーティンとはそもそもどういう意味か

 

ところで、ルーティンとはどういう意味ですか?あの「おまじない」みたいな動きのこと?

ルーティンという言葉にはいくつかの切り口が混在していますので、根本的な言葉の意味に立ち返ってみましょう。

 

ルーティンとは、端的に言えば、決まりきった手順や作業のことを表します。

 

一般的に言うと、ルーティン(Routine)の語源となっているのはルート(Route)です。カタカナ語のルートと同じで、経路や道筋のことです。

例えば、轍(わだち)という日本語があります。轍というのは、車が何回も何回も同じ「ルート」を通ることによって、車輪の跡が道筋として続いているような状態を表します。

 

つまり、車や人が繰り返し繰り返し同じルートを通るように、同じ手順や作業を繰り返すことでルーティンが出来上がっていきます

イチローや五郎丸を始めとしたアスリートのルーティンというものも、こうして一種のお決まりのパターンを作っているということです。これは当サイトでも度々出ているパターン化にも通ずる話です。

 

そして、このパターン化が様々な効果に派生するということです。

学習効果という点から見ると、ここから①業務効率化のような「ルーティンワーク化」と、②リラックスと集中を促す方法としての「ルーティン」、という2つの大きな観点が生じてくるということです。

 

ルーティンという言葉が何なのか混乱している」という方は、まずはこの2つに区別して理解することをオススメします

 

スポンサーリンク

学習習慣のルーティンワーク化として、継続は力なり

 

ルーティンワーク化とは、業務効率化と毎日の継続

 

ルーティンの言葉について理解したところで、まずは「ルーティンワーク化」について考えていきましょう

 

ルーティンワーク化とは、大掴みに言えば「同じような作業をパターンに落とし込む」といったことです。

例えば、各種データを毎日どこかから取得して、書類のフォーマットに落とし込み、異常値が無いか確認し、決裁に回す、といった流れもルーティンワークの一種です。

こうした流れを一つの型に当てはめることによって、作業や判断に掛かる時間と労力を大幅に削減して業務効率化するという重要な効果があります。そしてそれを突き詰めていくのがRPAやソリューションと呼ばれるものです。

 

仕事の話をされても、働いたこと無いから分からんです。

中身は違えども、ルーティンワークは誰もが何かしら毎日やっていることです

 

これを日常生活で言うと、例えば以下のような流れがまさにルーティンワークです。

目覚まし時計を止める→朝食を摂る→歯を磨く→トイレに行く→身支度をする→持ち物を確認→施錠確認→GO

 

こうしたルーティンワークは、よほど体調が悪くない限りは、基本的に毎日行なっているはずです。

かくいう私自身も、朝に弱くてキツかろうと最低限のルーティンワークは続けられています

 

ルーティンワーク化のポイントは、お決まりのパターンであれば難なく毎日継続できるという点です。

 

イチローや白鵬などの超一流アスリートが長時間に及ぶ地道な事前準備を10年以上も続けられているのも、ルーティンワーク化しているからこその賜物と言えます。

もちろん超一流と呼ばれる人たちの大半は意志力自体が常人離れしているように見えますが、継続力という点ではルーティン化が非常に強く後押しします

 

もっと一般的な例を挙げるならば、ご高齢になっても農作業を毎日継続している農家の方などもまた長年のルーティンワークの賜物であると言えます。

 

誰でも出来る!寝る前10分間の学習習慣・ルーティン化

 

ところで勉強のルーティンワーク化って具体的にどうすれば?

では、誰でも今日からできる(はずの)方法を伝授します

 

それは、毎晩寝る前の10分間に勉強する」という習慣化です。

※他にも、食事前・後、朝の登校・出社前、昼休みなど、自分にとって上手く使えていない時間があればそこを想定して下さい。

 

このルーティンワーク化でやることは、至ってシンプルです。

  1. 予め使う学習教材をセットしておく。
  2. 時間を設定して勉強する。(できればタイマーやストップウォッチで)
  3. 時間内までは集中する。
  4. 毎日続ける。

※1の教材は、出来ればサイドテーブルや机の上などのすぐ手が伸びる場所に常設しておくのが理想です。

 

たったこれだけです。物理的には誰でも出来ます。

これですんなりと継続できれば、見事にルーティンワーク化成功です。そのまま続けていきましょう。

 

一方で、多くの人は、たった10分間なのに億劫になったり余計に疲れたりするかも知れません。特に、10分間勉強を始める段階最も心理的な抵抗感や負担を感じることでしょう。

これは、日頃のルーティンワークに「組み込まれていないこと」をやり始めようとしているからです。

 

ですが、この10分間勉強がルーティン化すれば、特に苦労なく、何も考えなくとも勉強を始められるようになります。少なくとも、やり始めるためのハードルは格段に下がります

これこそがルーティンワーク化による継続力です。

あとは、単純に「勉強するための作業」の効率化も図れます。

 

ちなみに私は夕食前後20分間を資格試験の学習に使っています。

いやあ、10分間だけでも出来る気がしない

まずは学習教材のセットから始めると良いです。例えば、夕食前後に10分間勉強をするなら食卓の側に参考書を常設するということです。

 

ここでルーティンワーク化が出来れば、メインの学習習慣にも他の分野にもいくらでも応用が効くということです

学習習慣の確立に悩んでいる方は、まずはこの10分間勉強から実践してみて、ルーティンワーク化を実体験から理解する足掛かりにして頂ければ幸いです。もちろんそこから学習時間を増やしていくことも出来ます。

 

スポンサーリンク

試験本番でリラックス効果と集中を促すルーティン

 

ルーティンとは:本番でも練習通りのパターンを再現する

 

次に、いわゆる五郎丸ポーズで一気に有名となった「ルーティン」について考えてみます。

 

ここで言うルーティンとは、かいつまんで言えば、一連の動作をパターン化することによって心身ともに常に同じようなパフォーマンスを発揮するというものです。

いわゆる五郎丸ポーズというのも、単にあのポーズだけではなく、ボールの置き方、距離や歩数の取り方から何から一連の流れを全てひっくるめてルーティンにしているということです。

 

なお、ルーティンというのは、五郎丸ポーズで有名になるよりも以前から知る人ぞ知る方法でした。

 

↓本書は少なくとも2013年2月の出版であり、五郎丸の出場したラグビーW杯は2015年です。

こうしたルーティンによって、単なるモットーだけではなく心身ともに「練習通り」を再現しているということです。

 

ここで気をつけるべきは、ルーティンをただ漫然と形だけやれば良いということではありません

ルーティンを通して意識的にリラックス&集中状態に持っていくのが大事なポイントです。

 

ルーティンが定着していくうちに、ルーティンの物理的な行動メンタルの状態と結びついていきます

そうすると、本番環境でもルーティンの物理的な行動がトリガーとなってメンタル面も「普段どおり」の状態を再現しやすくなります

 

コントロールの難しいメンタル面を、比較的わかりやすい物理的なパターンから一定の状態に持っていくのがルーティンの強みです。

 

ルーティンによる集中というのは、過去記事で述べたようなメリハリのスイッチです。一方、ルーティンによるリラックスというのは、普段の練習段階でのリラックス状態を本番でも喚起するということです。(加えて、意識のノイズを削減すること)
そして、この集中とリラックスが両立した結果として究極的に辿り着くのがフロー状態、いわゆる「ゾーンに入る」ということです。

 

受験本番へ向けて普段の勉強からルーティンを意識していく

 

これはまさに、勉強における試験本番対策にも直結する話です。

 

例えば過去記事で述べたように、私の場合は「飴を口に含んだまま試験に入る」というルーティンを実践しています。これは、普段から飴を舐めて勉強していることから、ついでに本番でも利用することにしたルーティンです。

もちろん、これによってリラックス集中力アップという効果を自分自身が実感しています

オーガニックキャンディもアイハーブがオススメ!飴玉でリラックスし本番へ│勉強アイテム・生活改善⑨

 

他にも、「本気モードに入る前にトゥルーフォーカスを呑む」というのも自然とルーティンとなりました。

私にとってトゥルーフォーカスは集中力アップ系の神サプリですが、「トゥルーフォーカスを呑む」という行動それ自体もまたルーティンとして機能しています

※あくまでも成人基準のサプリですのでご注意下さい。

 

あるいは、もっとマクロに見れば、1日のタイムスケジュールというのもルーティンに入ります

例えば朝は何時何十分に起きて、何分に決まった食事をして、何分に歯を磨いて、何分に家を出て、特定の音楽を聞いて、同じリラックス法を使って……といった具合です。

 

究極的に言えば、日々の生活の過ごし方を全て丸々ルーティンに出来るということです。

……もっとも、それは生半可な意識では成し遂げられないことですが。(そこに超一流の凄みがあります)

 

いきなり超一流を目指す必要はありません。まずは気の向いた行動からルーティンを意識するのがオススメです

 

ルーティンについては様々な考え方や見方ができるかと思いますが、私なりにあえて一つポイントを絞るならば、普段から習慣付けている動作によって意識の焦点を一定の状態に持っていき、結果としてリラックスと集中につながるというようなメカニズムです。

例えば、平常時に自学自習している時は本番のような緊張をすることはまず無いかと思いますが、ルーティンがその「平常時に自学自習している時」の自分を思い出させてくれる、といった要領です。

これはまさに本番でアガって失敗する状態の真逆です。

 

もちろん、アスリートのように動作メインのルーティンを取り入れるのも一つです。イマイチ思いつかなければ、好きなスポーツ選手のルーティンをコピーするのもアリです。そうしてやっていくうちに、自己流のアレンジが加わっていくことでしょう。
ただし、不正行為を疑われるような紛らわしいルーティンは控えておくべきです。(李下に冠を正さず)
また、周りの受験生に迷惑が掛かるようなルーティンも辞めましょう

 

試験本番前に急に新しいルーティンを始めない

 

こうしてルーティンを考えるに当たっては、逆に「試験本番になって急に新しいことをやらない」という基本姿勢が大切です。

 

例えば、古典的なリラックスの手法として『手のひらに人の字を書いて飲む』といった話はよく聞くことと思います。

しかし、もしそうした手法を普段は一切使っていないにもかかわらず、いきなり本番になって思いつきで使ってしまうと、無意識レベルから「今日は本番だ!普段とは違う特別な日だ!」と感じてしまい、平常心とは逆の方向に引っ張られやすくなるという重大なリスクがあります。

 

そうした特別感がキッカケで良い方向に覚醒するようなタイプであれば、むしろゲン担ぎでも何でもやる方が良いのかも知れません。

ですが、自分は本番に強いほうではない」と自覚している方ほど素直に普段どおりを目指すのが良いです。

 

ここでのポイントは、「自分自身が普段からやっている習慣かどうか」です。

 

※なお、ゲン担ぎ・勝負飯のリスクについては以下の記事で特集しています。

受験生のゲン担ぎや勝負飯は試験に逆効果?不安やプレッシャーを助長しないか│勉強法・教育法㉙

 

スポンサーリンク

ルーティンワーク化とルーティンが重なる例

 

ここまで、ルーティンについて2つの切り口に分けて論じてきました。

ただ、これは話を分かりやすくするのが目的であり、実際はルーティンワーク化とルーティンが一体化しているケースも多々あります

 

ジョブズが同じ服を着るルーティンワークもまたルーティン

 

以前の記事で、アップル創業者のスティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたという話をご紹介しました。(※もちろん同じ服を何着も持っていたということです)

勉強の目的は成長への自己投資!経営ビジネス的な観点から学習を捉え直す|勉強法・教育法㉒

 

このときの記事では、効率化の観点から解説しました。要するに、服装選びの判断に使う時間と労力を削減できるということです。

これを今回の記事から考えてみると、まさに服装選びをルーティンワーク化している、とも言えます。

 

一方で、これは常に同じ服を着てビジネスの場に臨んでいるとも言えます。

平時であっても、大事なミーティングであっても、あるいは伝説的な初代iPhoneのプレゼンテーションであっても……。

 

これはまさにルーティンそのものでもあります。

 

普段でも本番でも常に同じ」というのは、まさしく受験や資格試験で目指すべきものです

そう、ルーティンならね。

 

「音楽を聴きながら勉強」から試験前のルーティンへ

 

あるいは他の記事では、「音楽を聴きながら勉強しても良い」という考えについて解説しました。

音楽を聴きながら勉強しても良い!導入と学習効果とモチベーション向上|勉強法・教育法㉔

 

これは、特に学習習慣が確立できない勉強嫌いの方にこそオススメできる方法です。

たとえ「音楽:勉強=7:3」、あるいは「9:1」の集中度であっても、勉強の始め時をルーティンワーク化することによって学習を継続しやすくなるからです。

 

一方で、音楽はルーティンとしてよく使われるツールでもあります

単純に言えば、モチベーションが上がってリラックスも出来るような曲を勉強前に聴くというルーティンです。

 

勉強のやり始めと同時に音楽を聴くというのも良いですが、試験本番当日にルーティンとして使うのであれば、勉強を始めるより前から聴き始めるのがオススメです

 

スポンサーリンク

イメージを使ったリラクゼーション法をルーティン化する

 

う~ん……でもやっぱり「ルーティンがリラックス法になる」ってのがしっくり来ません。

それならば、フルコースメニューのようなリラックス法をご紹介します。つまり、逆にリラックス法をルーティン化すれば良いという考えです。

 

オマケとして、記憶のトリガーを五感のイメージに結びつけたリラックス法を私なりに噛み砕いて誘導風にご紹介します。

 

まず、あなたの記憶の中で、「最もリラックスしている場面」というものを探してみてください。「最も」と言いましたが、一番にこだわる必要はありません。あるいは、リアルなリラックス感があるならば空想のイマジネーションでも構いません
……見つかりましたか?では、その記憶のイメージを、掘り下げてみましょう。目を閉じて、その場面に入り込むような要領で、リラックスしている時の記憶や状態を五感のイメージでありありと感じてみましょう
……今見つけたその記憶こそがリラックスのトリガーです。あなただけのトリガーです。この記憶のトリガーは、回数を重ねるほどリラックスが深まっていき、よりスムーズに入ることが出来るようになります
緊張を意識した時には、一旦目を閉じてこのリラックスのトリガーを引き出します。すると、あなたの緊張は、目を閉じる前よりも確実に緩んでいることでしょう。

 

こうした方法は継続が必要ですが、自身の心をコントロールする為の基礎力から養えますので、じっくり学ぶタイプにはオススメです。

 

スポンサーリンク

まとめ

 

勉強のルーティンについて考える際には、以下の2つの論点に区別して考えるとわかりやすいです。

 

  1. 勉強を継続するためのルーティンワーク化、学習習慣の確立
  2. 試験本番へ向けてリラックス&集中状態を作るためのルーティン

 

前者のルーティンワーク化は、学習習慣の確立という点において大きな効果を発揮します。

後者のルーティンは、試験本番でも練習通りにパフォーマンスを100%発揮するという点で強力なメンタルコントロール法となります。

 

いずれにしましても、パターン化をして継続するという点が核心です。

そして、いずれも自分自身の意識状態を意図的に一定のパターンに持っていくという要素がポイントです

 

他の学習法でも同じですが、特にルーティンは自分にとってしっくり来るかが重要ですので、とにかく自分で実践してみましょう

 

※連載シリーズ①「ロジック基本講義(国・英・長文読解)」→ 各話リスト

※連載シリーズ②「効率的な勉強法」→ 各話リスト

※勉強アイテム・生活の質を高めるグッズ特集→ 各話リスト

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました