勉強好きになれば成績もどんどん上がりますよ。ああ、研究が楽しくてついつい熱中してしまう……。
そんなこと言われても、好きじゃないものは好きじゃないんだよな。
個別指導塾をはじめとして、学習塾においては「子供を勉強好きにしてください」といった要望は非常によく訊かれるものです。
一方で、勉強嫌いを直すのには限界があるのもまた事実です。
かくいう私自身もまったくもって勉強好きではありませんが、それでも自己研鑽を続けています。
確かに勉強が好きになれれば理想ではありますが、勉強好きになれないからといって気に病む必要はありません。
むしろ発想を転換して、「いかに楽に勉強を進められるか」という観点から学習法の工夫を目指せば良いのです。
「勉強を好きになる」ことは最強の学習法
まず、「勉強を好きになることが最高の勉強法である」というのは事実です。
これはいわば経験則から明らかな話です。
例えば私であれば、SFCの名作RPGである真・女神転生シリーズのダンジョンをマッピング無しでかなり暗記していました。各種族の悪魔(モンスター)のデータはもちろん、『if』のアキラ編などは、地のノモスから半分以上は上の空で覚えていたものです。(今では情熱が沸かないので無理です)
これは熱中していたからこそスポンジのように吸収できたのであり、頑張って暗記しようと努力したわけではありません。
この点について究極的な例を挙げると、さかなクンさんの魚類に対する造詣の深さも、まさに人並み外れて熱中し続けられたがゆえの結果であると言えます。(※さかなクンさんは学校の勉強はからっきしだったらしく、大学受験も諦めています)
受験勉強や資格試験勉強も同じように、楽しく・好きになれればそれこそが最強の勉強法に違いありません。
自発的なモチベーションがあれば、「吸収力の強さ×勉強量の多さ=高い学習効果」が自然と実現できるからです。ノウハウも自分で調べて試行錯誤していくうちに蓄積されていきます。
そうした点から考えると、過去記事で述べたような自分自身の興味関心を探ることは非常に重要です。
このような興味関心の方向性があれば、そこから更に興味を拡げることができます。
例えばスポーツ好きであれば、プロアスリートになる道だけでなく、スポーツ科学・フィジカルトレーナー・指導者・用品メーカー・管理栄養士・ライター・チームスタッフ……と、隣接分野も山程あります。
そのような具体的な夢が出来たならば、その夢がモチベーションにプラスの作用を及ぼし続けるということです。
これは単なる感情論の問題ではなく、具体的な学習効果として表れます。単純に言うと、夢が出来ることで学習に対する意欲も努力量も自発的に増大します。
もしも若い段階でこのような方向性が見つかったとすれば、今後の数十年に渡って人生の道しるべとなる可能性すらあります。
※なお、将来の夢については別記事で特集しています。
将来の夢が決まらない?進路希望は興味関心・適正の方向性を自己分析するところから|勉強法・教育法⑪
「勉強を好きになる」ことの限界
一方で、「勉強を好きになる」ことには限界があることもまた事実です。
この点について、会社法(商法)の教授の話が個人的に思い出されます。
一言一句は覚えていませんが、要約すると以下のとおりです。
※注釈すると、会社法・商法はひたすらルールブックを読んで覚えるような要素が非常に強く、法学の中ではつまらない面白くない分野の筆頭に挙がることでしょう。(ただし社会的な需要は非常に高い)
ここで述べたいのは、「誰もがどんな勉強でも好きになれるわけではない」という事実です。
早稲田大学の教壇に立つような先生であっても、あるいは様々な学習メソッドに触れた上位進学校の生徒であっても、好きになれないものはなれません。
どれほど莫大な資金を使って教育のプロを雇ったところで、普通の人をさかなクンさんのような研究一筋に変えることは無理な話です。(隠れた素質を引き出すのでなければ)
数々のノウハウを実践したとしても、人間である以上は特に努力せずにメンタルが根本から劇的に変わるようなことはそうそう起こりません。
それでも勉強する人は勉強し続けるということです。
その中には、学校の勉強だけでなく、自分のメンタルを変えるような努力も含まれます。
「いかに楽をするか」という発想の転換
確かに勉強が好きになるに越したことはありませんが、人によってはそうも言っていられません。
例えば私がジェネラリスト型になっているのも、「あれもこれも好きだから」ではなく「あれもこれも好きではないから」どれも専門にしなかったというのが主因です。
そこで注目すべきは、当シリーズで解説してきたような合理的な学習メソッドです。
学習メソッドと聞くと、「意識の高い受験生がさらに上を目指す」というような印象を持たれる方もいるかも知れません。
もちろん、努力家が方法論を習得していくことで成長は更に加速することでしょう。
ですが、私自身は「いかに楽をするか」をモットーにしています。
これまでの勉強法についてのノウハウも、「いかに努力しないで成績を上げるか」という試行錯誤の結果です。
努力をしないために努力をする……ってことですね。
そのように言えなくもないですが、どんな道を選ぶにせよ努力をゼロにすることは出来ません。ただ効率化はできます。
どれほど「努力しない」とは言っても、大抵の進路では一定以上の勉強が求められます。
そこで、「少ない苦労でいかに効率を最大化できるか」という発想の転換をオススメします。
これはいわばビジネス的な発想です。
すなわち、限られた資源を使ってより大きな収益を上げるということです。
そして、そこから生まれた利益が更に自己投資に回るということです。
勉強で言えば、成績が上がることで隣接する領域の理解も深まり、心理的な余裕が増え、モチベーションも多少なりとも上がるということです。
そうすると、たとえ勉強好きにはならなくとも勉強の好循環が生まれていきます。
たとえ楽しいとは思わなくとも、以前の自分と比べて「楽になる」ことはできるということです。
なお、別記事では経営・ビジネス的な観点から勉強について解説しています。
勉強の目的は成長への自己投資!経営ビジネス的な観点から学習を捉え直す|勉強法・教育法㉒
まとめ・勉強嫌いの為の学習指針アドバイス
確かに、勉強それ自体を好きになるというのは究極のモチベーションです。
一方で、好き嫌いというものは各々の個性・適正と深く関わるものであり、人それぞれ違います。
そこで、当記事のオススメする方針を挙げてみたいと思います。
- まずは自分自身の興味関心がある分野や方向性を探りましょう。そこから好きなことを拡げてみましょう。あとは芋づる式です。
- 興味関心のあることが見つからなくても気に病む必要はありません。そのかわり、様々な学習メソッドを試していくことでより少ない苦痛で勉強できるようになり、勉強嫌いも緩和されるかもしれません。
- そうしていくうちに成績向上していけば、勉強に対する嫌悪感も減り、余力が生まれて更に楽になります。
- やがては、以前の自分よりも勉強嫌いでなくなっていることに気づくかもしれません。その自覚はなくとも、より良い結果が出るか出ないかでは大違いです。
他人は他人、自分は自分です。
まずは好き嫌いに囚われずに「上手いやり方」を覚えていくうちに、ビジネス感覚・ゲーム感覚が生まれてくれば儲けものです。
そうでなくとも、心理的な余裕が増えるだけでもプラスになります。
中でも、勉強嫌いな人には「ながら勉強」がオススメです。いっそ音楽をメインにしてついでに勉強するのもアリです。
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